野田　土下座から顔を上げたら、バカウケしてたんですよ。テレビだと出囃子の音で、お客さんの笑い声はかき消されてたと思うんですけど。

村上　ウケてました、ウケてました。こんなにいい感じで見てくれてるんだって、嬉しくなっちゃって。「3年前、クソ滑ったやつらがまた出てきたぜ」みたいな目で見られると思っていたので。

野田　あの瞬間、「あ、勝った」と思いました。3年でお客さんってこんなに変わるんだなって思いましたね。

――なぜ、そんなに変わったのでしょう。

野田　2017があったからですよ。それは間違いないです。

M-1ファンが「変」を欲していた

――いい方に転んだわけですね。前回、手ひどい扱いを受けたコンビだから、温かい目で見てあげよう、というような。

村上　単純に見慣れたということもあったと思います。

野田　あと、今大会は、M‐1ファンが「変」を欲している感じが異常にありましたね。2回戦の動画がYouTubeに上がっていたんですけど、コウテイ、キュウ、ランジャタイとかの再生数が伸びていた。一方、正統派と呼ばれるコンビのネタはあんまり評判になっていなかったり。

――2020年のM‐1のテーマは、まさに「破壊」でしたね。

野田　決勝に選ばれたやつらの顔ぶれもそうでしたけど、異常な感じの熱がありましたよね。

「フレンチ」としては一番いいウケ方でした

――それにしても、ネタに入る前に、それだけお客さんの心をつかめていたら心強いですね。

野田　あれで、ウケの見積もりは出せました。

――イメージした通りのマックスに到達しましたか。

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