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NBAを目指して豪州でプレー、25歳馬場雄大が渡邊雄太と語り合った「信じてやるしかない」の意味
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2021/01/30 17:00
昨季はNBAダラス・マーベリックスの下部リーグ(Gリーグ)チーム、テキサス・レジェンズでプレーした馬場は、今季はNBLのメルボルン・ユナイテッドの一員として、1月15日の開幕戦を迎えた
「昨季、なかなかプレーさせてもらえなかったシーズン序盤に、よくコミュニケーションを取っていました。彼も当時はメンフィス・グリズリーズでほとんどプレータイムがもらえず、それでもひたすら練習に打ち込んでいました。『信じてやるしかない』『Keep Going(前に進み続ける)するしかない』とよく話していました。おかげで僕も自分を信じて取り組めているので、そういった気持ちのところが大きいですね」
――その渡邊選手も今季はトロント・ラプターズの登録メンバーに定着し、八村塁選手とともに当たり前のようにNBAでプレーするようになりました。日本人プレイヤーの活躍は刺激や自信になっている部分もありますか?
「僕もGリーグ、NBAのプレシーズンでプレーし、実際のレベルを多少体感してきたので、まだまだ直していかないといけない技術や、向上していかなければいけない部分の方に目がいきます。だから正直、彼らは彼ら、と考えているところは自分の中にありますね」
――海外での1年目となった昨年、馬場選手は「次へのステップの1年目」といった感じで焦らず、地に足をつけて臨んでいる感じがしました。海外での2年目となる今年の目標はどこになるのでしょう?
「結果にこだわってやっていきたいです。Gリーグにいない以上、(NBLでは)突出した目立つプレイヤーにならないとNBAからの声はかからないと思っています。もちろん数字に表れる部分にこだわっていくのも1つですし、このリーグで光る選手、こいつはちょっと違うなって思ってもらえるような選手になることが必要。海外での1年目とは違った姿を今シーズン通じて出していきたいなと思っています。
僕はもう25歳で、今年で26歳になります。NBAを目指すとなると若くはないので、1年でも早くNBAに入るってことを目標に、今シーズンで海外のリーグでもプレーできる力を証明していきたいです」
2021年が“分岐点”になる
NBLで良いプレーをすることがNBAに直結するというのも事実である。昨季のドラフトではラメロ・ボール(シャーロット・ホーネッツ)、RJ・ハンプトン(デンバー・ナゲッツ)が1巡目指名を受けたのをはじめ、3人のNBL選手がNBAドラフトにかかった。特に今季は規制緩和で客入れが可能になり、日程も順調に消化できそうなオーストラリアのリーグはNBAスカウトからも注目の舞台になっていくだろう。
ただ、注目度が高いということは、競争の激しさも意味する。そんなNBLで海外での“2歩目”を踏み出した馬場は、順調に前に進んでいけるのか。目標の1つに掲げる平均二桁得点をクリアし、目論み通りのインパクトあるプレーでアピールできるか。
年齢的にも後がないバトルであるのは本人が述べている通り。今季が終わる頃には、“3歩目(=NBA)”へのチャンスがどのくらいあるのかがある程度見えている可能性は高い。2021年が馬場のキャリアにとって分岐点と呼べる年になることは間違いなさそうだ。