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高校サッカー“ロングスロー論争”は英国でも賛否 「一か八か」「目の前の結果ではなく…」デラップ砲は根強い人気 

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田嶋コウスケ

田嶋コウスケKosuke Tajima

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photograph byGetty Images,Naoki Morita/AFLO SPORT

posted2021/01/10 17:03

高校サッカー“ロングスロー論争”は英国でも賛否  「一か八か」「目の前の結果ではなく…」デラップ砲は根強い人気<Number Web> photograph by Getty Images,Naoki Morita/AFLO SPORT

そのチームにおける得点の可能性が高まるのならば……高校サッカーもデラップも、ロングスローが有効な戦術だといえるのだろう

 デラップのインパクトは絶大だった。2012年のロンドン五輪を控えていた当時、「アイルランド代表のやり投げ選手として、五輪出場を目指すべきでは?」と、本気か冗談なのか分からないような記事も掲載されるほどの旋風だったことは今でもよく覚えている。

ファンは好意的、ベンゲルは恨み節

 そして、英サッカーファンも、試合を一発で決める派手さも手伝い、デラップ砲を好意的に捉えていた。

 ストークは1985年を最後に2~4部リーグを行ったり来たりするエレベータークラブだった。飛び道具を使う戦法には「アンチ・フットボール」と批判的な声もあったが、2008-09シーズンで24年ぶりにトップリーグに復帰した彼らが、徹底して結果にこだわるのは至極当然のことだった。ストークの戦い方は、生き残るための手段としてファンに理解された。

 だが、敵将からは恨まれた。

 特に、ポゼッション志向の強い外国人監督からはひどく毛嫌いされ、肉弾戦を好むストークを苦手としたアーセナルのアーセン・ベンゲル監督にいたっては「いっそのことスローインを廃止し、キックインを導入すべきでは?」と、負け惜しみに近い見解を述べた。

ベニテスの興味深い「50%論」

 また、ロングスローを含む、長いボール全般に否定的な考えを示したのが、リバプール在任時代のラファエル・ベニテス監督だ。

 2004-10年までリバプールを率いたスペイン人指揮官は当時、次のように語っていた。

「イングランドサッカーはロングボールを多用する傾向にあるが、個人的にはあまりよく思っていない。ロングボールは一か八か。放り込んでも、空中戦でうまくいく確率は50%しかない。それなら足元につなげたほうがいい」

 興味深いのは、この「50%」の確率をどう捉えるかで見方がまるで変わってくることである。

【次ページ】 クロップはスローイン専門コーチを雇ったが

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