アジャコング「今までとは違うけど、これもプロレス」

　これまで何度かゲスト参戦してきたアジャコングは、1.4後楽園大会のバックステージで東京女子での試合を「楽しい」と言った。

「今までやってきたものと一緒ではないけど、これもプロレスだから」

アジャコング（中央）　（C）東京女子プロレス

　この日、アジャのチームに加わったらくやタッグ王座に挑んだ上福ゆき、エースの山下実優と熱戦を展開した伊藤麻希など、東京女子には芸能界からプロレスに挑戦している選手も多い。らくはアップアップガールズ（プロレス）のメンバー。アイドルとプロレスの二刀流グループで、オーディション時から“歌って、踊って、闘える”がキャッチフレーズだった。

　1.4後楽園の第1試合でデビュー、鈴芽に敗れた遠藤有栖はプロレス団体WRESTLE-1の公式サポーターユニットCheer1のメンバーとして活動し、先輩の“筋肉アイドル”才木玲佳に憧れてレスラーになった。

遠藤有栖　（C）東京女子プロレス

　まだ技の数は少ないがリングでの立ち振る舞い、闘志を前面に出すファイトは可能性を感じさせた。なにしろライブをはじめ“人前に出る場数”は十分に積んでいる。アイドルとしての経験は他のスポーツ、格闘技経験と同じようにプロレスに活きるものなのかもしれない。

“女子プロレスは嫉妬やケンカを見せればいい”？

　メインイベントでリカが挑んだチャンピオン、坂崎ユカは同じDPGのメンバーだった。2013年、オーディションで同じ場所に居合わせて以来、2人にしか分からない思いも味わってきた。一緒に東京女子プロレスに入門したのも、グループ内で冷遇されていたことから「見返してやる」という気持ちだったのだという。

　運動神経に恵まれた坂崎が先にデビュー。先にベルトを巻いたのも坂崎だった。そんな同期に大舞台で挑戦する。ドラマティックなタイトルマッチだ。しかしリカのモチベーションは、単純なジェラシーではなかった。リカは誰よりも坂崎の頑張りを認めていたから、彼女の活躍が嬉しくもあった。憎いからではなく、好きだから勝ちたかった。

　2人の関係は、だからいわゆる“因縁のライバル”、“仇敵”ではない。再び甲田に解説してもらおう。

「女子プロレスはリアルな感情が出るのが面白いとよく言われます。昔の全日本女子プロレスでは仲の悪い選手同士をあえて闘わせるということもあったと。でも時代が進むと、それが曲解されて“女子プロレスは嫉妬やケンカを見せればいい”になっていた気がします。“リアル風”と言いますか……。でも本当は、選手同士の仲がいいのであれば仲の良さを見せるのが“リアル”だと思うんです」

　女同士は仲が悪い、女の敵は女、女社会は怖い。東京女子プロレスはそうしたムード（見る側の勝手な思い込み）とは無縁だ。選手たちはお互いを可愛いと褒め合い、試合後に写真を撮ってSNSに載せる。対戦が決まっている相手と一緒に遊びに行くこともある。試合前にそんなことでいいのかとファンに咎められた時のリカの返信は堂々としたものだった。

「私たちは殺し合いをしているわけではないので」

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