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「ハミルトンの記録を抜きたい」日本人最年少F1デビューの20歳角田裕毅に世界が期待する理由
posted2020/12/31 11:01
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
7年ぶりに日本人がF1にレギュラードライバーとしてフル参戦する。角田裕毅、20歳。身長は160cmと小柄だが、その才能は規格外だ。
日本人がF1のレースに参戦するのは角田で21人目だが、角田の20歳でのF1デビューは、これまで中嶋一貴が持っていた22歳を2歳も短縮する日本人最年少記録である。日本人でこれまで表彰台に上がったドライバーは3人だが、その中でもっとも若い小林可夢偉のF1デビューは23歳、佐藤琢磨は25歳、そして鈴木亜久里は28歳だった。また日本人として初の2000年代生まれのF1ドライバーでもある。
ほかのスポーツでは20歳という年齢は決して驚くような若さではないが、四輪という車両に乗って競走するモータースポーツ、特に日本のモータースポーツ界では、角田の20歳でのF1デビューは異例の速さと言っていい。その異例のステップアップが可能になったのは、角田の才能を見抜き、チャンスを与えた者がいたからだ。
4歳でモータースポーツを始めた
角田がモータースポーツを始めたのは4歳のとき。「面白そうだから」と父親に勧められて体験カートに乗ったのがきっかけだった。しかしその後、角田は四輪にステップアップするまで12年間の歳月を要した。ヨーロッパでは普通自動車免許を持っていなくても早ければ14歳で四輪のレースに参加できる特別なライセンスを取得することが可能だが、日本ではそれを取得するには16歳以上でなければならないからだ。しかし16歳になれば、自動的にライセンスが給付されるわけではない。カートで一定以上の成績を収めることが発給条件となっている。