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【箱根駅伝】「すぐ調子がいいとわかった」1999年“不滅”の区間記録を破った順大・三代直樹の唯一の心残り
posted2021/01/01 11:02
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Bungeishunju
初出:Sports Graphic Number PLUS 2014 「箱根駅伝 名勝負をもういちど。」(肩書などすべて当時)
1時間6分46秒。99年に順大の三代直樹が2区で叩き出したタイムだ。この記録を破った日本人ランナーは、いまだ1人もいない。
「先頭から22秒差の8位で欅をもらったんですが、走り出してすぐ『調子がいい』とわかったんです」
東海大の諏訪利成、日大の山本佑樹、駒大の佐藤裕之ら各校のエースを振り切り、快調に飛ばしていく。だが「不滅」と言われた渡辺康幸の区間記録のことは、まったく意識していなかったという。
「20km地点で康幸さんの記録より遅かったんです。2区はそこからの3kmが上って、下って、また上るというとんでもないコース。2、3年時も2区を走っていたんですが、2年のときは強風だったこともあり、意識と記憶が飛ぶほど苦しかった。もう絶対に2区は走りたくないって思ったくらいです(笑)。だからとにかく前に、前にという気持ちだけで走ってましたね」
欅を握りしめ、必死の形相で最後の坂を駆けあがると区間新記録がついてきた。
「今考えれば僕は記録ではなく、2区という厳しく、辛いコースと闘っていたのかもしれません。意識して抜ける記録じゃありませんから、康幸さんのは。ただ、ひとつだけ心残りなのは、1年の頃から同じ区間を走り続け、ギリギリのところで負け続けていた駒澤の藤田(敦史)が4区にまわったこと。一緒に走り、勝てなかったのはちよっと残念でしたね」
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