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「何と戦っているんだ」なぜ萩野公介はこの言葉で変われたのか…リオ五輪金メダリストの復活
posted2021/01/03 11:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
KYODO
師走、競泳界に明るいニュースが流れた。
2020年12月初旬に行なわれた日本選手権で、萩野公介が400m個人メドレー、200m個人メドレーの2冠を達成したのである。
内容もよかった。
初日の400m個人メドレー決勝のタイムは4分13秒32。東京五輪が延期になる前に設定された五輪派遣標準記録4分15秒24を上回った。大会第3日の200m個人メドレーでも標準記録を超える1分57秒67。
「この時期にこのタイムは自信になります」
笑顔を見せた。
長期の低迷からの脱出を、あらためて裏付けた
何よりも、長期の低迷からの脱出を、あらためて裏付けたレースとしての意味が大きい。
萩野は銅メダルを獲得した2012年のロンドン五輪に続き2度目の出場となった2016年のリオデジャネイロ五輪で、400m個人メドレー金、200m個人メドレー銀、4×200mフリーリレーで銅メダルと、圧巻の活躍を見せた。まぎれもなく日本競泳の中心にいたし、世界のトップスイマーの1人であった。
2017、2018年は国際大会でメダルを獲るなど一定の活躍は見せたが、自身の泳ぎに首をかしげる場面もあった。
本来の泳ぎができないレースが続く中、ついに歩みを止めるときが来た。2019年2月のコナミオープン400m個人メドレー予選で自己ベストから17秒ほど遅いタイムに終わり、決勝を棄権したのだ。
指導する平井伯昌コーチは語った。