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井岡一翔「メリットのない試合」、田中恒成「キャリア最大の勝負」…大晦日“史上最高の日本人対決”の行方
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byGetty Images
posted2020/12/30 17:09
昨年の大晦日、父になって初の防衛に成功した井岡一翔
「格の違いをどの部分で戦っても見せられる」
2人とも引き出しの多いがゆえに予想は難しい。どんな展開になるとしてもポイントは序盤だろう。ともにディフェンス技術が高く、スタミナも旺盛なことを考えると、互いにリードを許す事態は絶対に避けたい。となれば1ラウンド目から片時も目の離せない激しいつば競り合いが繰り広げられ、場合によっては激しい打ち合い、あるいはいきなりのダウンというシーンが起きてもおかしくない。
田中の不安材料は今回がスーパー・フライ級初戦ということだが、ミニマム級から上げてきたのは井岡も同じ。やはり序盤から競ったラウンドをどう確保していくのか、そのための戦略、リングの中での対応力が勝負のカギを握ると言えそうだ。
井岡は記者会見で「格の違い、レベルの違いをどの部分で戦っても見せられると思うので、そのときの状況判断で戦いたいと思う」と語り、どんな展開になっても勝てるという自信を見せた。
田中は「接近戦でも離れてもどっちでもいいなと。自分はどっちもできる。スタミナ、スピード、パワー、負けているものはない」と断言。こちらもあらゆるケースに対応できる用意をしている。
キャリアとプライドの井岡か、スピードと勢いの田中か。さまざまなことがあった2020年の掉尾を飾る試合だ。日本ボクシング史に語り継がれるような名勝負になることを期待したい。