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試合数減の特殊なシーズンに光を放った大東大の猛タックル。~大学ラグビーの今季~
posted2020/12/19 07:00
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Nobuhiko Otomo
「守っても仕方ないですから」と田中澄憲監督は言った。
12月6日の早明戦。前半21-7とリードした明大は、後半のスタートからWTB石川貴大に替えて齊藤大朗を投入。53分にその齊藤が、後半最初の得点となるトライをあげる。
「リザーブは(先発の)選手が疲れたときのためじゃなく、いつでも出せる力を持っていますから」
負傷者が出たら選手が足りなくなるかもしれないが、そんなリスクは覚悟の上。手持ちのカードは全部使う。言葉の裏にそんな決意が覗いた。
コロナ下で行われた今季の大学ラグビー。予定通りに試合ができるかは誰にも分からなかった。実際に明大は慶大に敗れた翌週、出直し試合として臨むはずだった日体大戦が、相手校にコロナ感染者が出てしまい、貴重な試合の機会を失ってしまった。そんな経験も、腹を括った攻めの采配につながった気がする。