野球クロスロードBACK NUMBER
「パリーグは怖い。最下位オリックスだって…」楽天ドラ1左腕・早川隆久が明かす“早大の先輩のアドバイス”
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph bySankei Shimbun(球団提供)
posted2020/12/15 17:03
11月24日に楽天と入団合意した早大の早川隆久投手
すべては、「即戦力」と最大評価で自分を受け入れてくれた楽天に報いるためだ。
ドラフトから度々報道されているが、「新人王」の目標はマスコミから言わされたわけではない。早川の強い意志によるものだ。
改めて決意を表明する。
「新人王のタイトルは獲得できる期間が決まっているので、狙っていきたいですよね。そこから、徐々に段階を踏んでいきたいです」
投手であれば、新人王の最低ラインのひとつに「10勝以上」が挙げられる。
早川がその数字をクリアする――それはすなわち、球団史上初の「2桁左腕」の誕生と同義となる。
「え!? いないっすか? 知らなかったです」
早川の目が丸くなる。高揚感がにじみ出る。
「モチベーション上がりますね。まだプロで1球も投げていないのに、言うことじゃないですけど(笑)、そういう記録が見えると、より目指したいって思えてきますよね」
「21」は初代エースの番号
新人王への意欲は、12月5日に行われた新入団選手記者会見でも示した。
同時にユニフォーム姿も初披露され、早川の背番号が「21」に決まった。
少し、意外だった。というのも、インタビューをした時期、その番号はまだ釜田佳直のものであり、早川も「15番あたりなんですかねぇ」と、漠然と予想していたからだ。
ただ、勝手ながら解釈させてもらうと、「21」は早川にふさわしい番号だと感じる。
報道にもあるように、楽天の初代エース・岩隈久志の番号であり、早川がその系譜を継ぐにふさわしい投手であること。
もうひとり。釜田の意志を継承することにも大きな意味を持つ。
14年に右ひじのトミー・ジョン手術(内側側副靱帯再建手術)。18年には右肩とひじにメスを入れるなど、大きな故障に見舞われながら、その度に復活を果たし、一軍マウンドに帰ってくる。それが釜田という投手だ。
高校からのプロ入りを断念し、大学での研鑽を経て、ドラフト1位の評価を得るまでの投手に成長を遂げた早川だからこそ、釜田の不撓不屈の精神を受け継いでくれるのではないか――そんな期待も膨らむわけだ。
いよいよ、早川のプロ野球人生がスタートする。期待と重圧。快速と称される左腕を唸らせ、幾多の想いを白球に乗せる。
伝統の「21」を背負いしゴールデンルーキーよ、大志を抱け。
(【前回を読む】早大野球部「楽天でもマー君みたいになるんじゃね?」 ドラ1早川隆久が高卒プロ入りを諦め、“155km”無双するまで)