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【有馬記念】蛯名正義が語る、亡父の後押しが生んだ2001年“陰の年度代表馬”マンハッタンカフェ
text by
土屋真光Masamitsu Tsuchiya
photograph byKeiji Ishikawa
posted2020/12/26 11:04
蛯名正義はマンハッタンカフェとともにエルコンドルパサーの無念を晴らそうとしていた
「方向性は間違いないと実感できたレースでした」
蛯名はさらに'10年、ナカヤマフェスタとのコンビでも2着となっている。
「気性的なものも考えて、前哨戦は馬が本番も走りたいと思えるようなレースを心がけました。そこは2度の経験が生きましたね。僕自身も『知っていた』ということは大きかった。パドックにはどう入るのか、コースに入ったらどこに向かうとか、いちいち気になっていたらもう普段通りではない。そういう心の余裕があったことで落ち着いてレースに臨めました。フェスタも相当頑張っていたんですが、ワークフォースにアタマ差まで迫ってから伸びなかった。でも、方向性は間違いないと実感できたレースでした」
調教師試験に取り組んでいる蛯名は最近、関係者向けの講演でクリケット・ヘッド元調教師の話を聞く機会があった。トレヴなどで凱旋門賞を何度も勝っている名伯楽の言葉に改めて気づくところがあったという。
「それが何かというのは、実際に乗っていない人には説明できない部分。でも、自分のこれからに生かさなければならない、このまま終わっちゃいけないと思わせるものであることは間違いないです」
蛯名正義Masayoshi Ebina
1969年3月19日、北海道生まれ。'96年天皇賞・秋をバブルガムフェローでGI初勝利。'10年にはアパパネで牝馬三冠を達成。昨年5月に史上4人目のJRA通算2500勝に到達。昨年に続いて調教師免許試験を受けるため、今年は8月中旬から騎手を一時休業。