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城西大学は三本柱の往路に自信アリ。神奈川大学は4年計画を実らせたい。 

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箱根駅伝2021取材チーム

箱根駅伝2021取材チームhakone ekiden 2021

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photograph byAsami Enomoto/Yuki Suenaga

posted2020/12/10 11:01

城西大学は三本柱の往路に自信アリ。神奈川大学は4年計画を実らせたい。<Number Web> photograph by Asami Enomoto/Yuki Suenaga

城西大を牽引する主将の菊地(写真左)。神奈川大の主将・北﨑は前回2区を走った。

キャンパス付近の山で実戦練習

 上級生たちの奮起を促すことも忘れていない。練習から引っ張っているのは、元気のいい4年生の雲井峻太。伊勢路には出走しなかったが、箱根駅伝では貴重な戦力となるはず。そして、中間層の中で指揮官が高く評価するのは3年生の宮下璃久。特筆すべきタイムを持っているわけではないが、「能力は高い」と太鼓判を押す。チーム力は確実に底上げされており、手応えを感じている。

「例年になく、ウイークポイントになる選手が少ないです。そつなくいけると思います」

 当然、山の準備も怠ることはない。94回大会に総合7位でシード権を獲得したときも、5区で服部潤哉(現・トーエネック)が区間7位と奮闘し、流れを引き寄せた。

「山が強いと、他の選手たちの期待値が上がるんです。今回もめぼしい選手はいます。まだ不十分ですが、本番までにはしっかりつくっていきます」

 埼玉県南西部に位置する城西大の坂戸キャンパス付近は山が多く、上り坂の練習にはもってこいの場所もある。箱根駅伝の5区をイメージするポイントがあり、そこで実戦練習を重ねているという。

「適性があるか、ないかを見極めています。学年も関係ないです。山だけは走らせてみないと分かりませんから」

 山下りの6区も重要な駒のひとつ。上り以上に早くから仕込み、調整を進めているようだ。足へのダメージを考えれば、下りの練習はそれほどできない。すでに適任候補がいるのだろう。「下りは転げ落ちてでも行け、という感じですかね。適性は度外視です」と冗談まじりに笑っていた。

「往路で5位、6位くらいにつきたい」

 櫛部監督が頭を悩ませているのは、復路の最長区間である9区。下り基調なコースを攻略できなければ、タイムをロスしかねない。コースの特性を考慮すると、思わずうなってしまう。

「うーん、いまのところ不在。誰にするか、正直、悩みどころですね」

 ただ、その口ぶりには不安の色はにじんでいなかった。きっと解決の糸口があるのだろう。ふと心の余裕が垣間見える笑みを浮かべると、思い描くシナリオを話してくれた。

「往路終了時で5位、6位くらいにつけて、その勢いのまま次の日を迎えたい。復路は抜きつ抜かれつしながら、最終的にとんとんで来ればいいですね」

 赤と黄色の風が2日間吹き続けば、箱根路は荒れるかもしれない。

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