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福岡&松島のようなスポーツカー? 女子セブンズ期待の慶應大3年・原わか花の鮮烈トライと浴びた洗礼 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2020/12/04 06:00

福岡&松島のようなスポーツカー? 女子セブンズ期待の慶應大3年・原わか花の鮮烈トライと浴びた洗礼<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

チャレンジマッチへ向けて集中力を高める原わか花。サクラセブンズ期待の快速WTBだ

原と堤の共通点とは?

 原が女子ラグビー界にその名をとどろかせたのは、2017年の太陽生命ウィメンズセブンズシリーズだった。日本や世界のトップレベルで活躍するシニア選手が並ぶ12チームが年間4大会を戦ってシーズン王者を決める大会に、原は高校生チームで参戦していた石見智翠館高の3年生として出場。年間4大会で21トライ、105点をあげ、最多トライと最多得点の2冠を獲得した。

 その2年前の2015年、同じシリーズで、やはり高校生ながらトライ王と得点王の2冠に輝いたのが堤ほの花だった。佐賀工高3年生だった堤は、日本協会がユース強化選手を中心に編成した「チャレンジチーム」のエースとして、同年の保土ケ谷大会では準優勝。大会6試合で最多の13トライをあげ、このシーズンから制定されたMVPの第1号を受賞。さらに年間4大会合計でも25トライで最多トライ、125点で最多得点の2冠に輝いた。

 2年の時をへだてて現れた女子高生トライゲッター2人には、その後の足取りにも共通点があった。国内大会や日本代表の予備軍で結果を出しても、シニアの日本代表にはなかなか呼ばれない。その間、他競技から転向してきたラグビー未経験の選手が次々と合宿に呼ばれた。だが、なかなか評価を得られなくても、堤は国内大会で結果を出し、チャンスを掴んだ。2018年のワールドカップセブンズで、堤は代表復帰を果たした。

 その姿が原に勇気を与えた。体が小さくても世界と戦える。だが同時に、堤は原にとって壁でもあった。セブンズの代表は12人しかいない。小型WTBの枠は「1」だろう。堤を超えなければ自分は代表になれない。

 モチベーションをかきたてた原は、猛然とチャージに出た。大学生になった2018年度は15人制の関東大会でCTBに挑戦。フィジカルの強い相手にタックルを繰り返し、狭い隙間を抜くスキルを磨いた。2019年の太陽生命ウィメンズセブンズシリーズでは東京山九フェニックスでトライを量産した。結果を出した原は7月にナポリで開催されるユニバーシアードの代表候補に招集された。

ユニバーシアードの競演、躍進の象徴に

 ユニバーシアード本大会に、堤と原は2人揃って代表入りし、日本の優勝に大きく貢献した。エイジグレードとはいえ、世界大会での優勝は日本女子にとって初の快挙だった。

 堤は決勝まで5試合でチーム最多タイの6トライをあげ、原は途中出場が多かったが短い出場時間で3トライをあげた。決勝のフランス戦では堤が2トライ、原が1トライをあげた。高速で左右にサイドチェンジしてギャップに走り込み、猛加速でタッチライン際を走り抜ける2人があげるスリリングなトライは、サクラセブンズ躍進の象徴だった。小型WTBは暫定的に「2」に増枠された……。

【次ページ】 「一番尖ってたのは原さんかな」

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