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嵐、嵐、嵐、マッチ、嵐……ジャニーズだらけのスポーツ紙はナゾだらけの“推理小説”だった 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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posted2020/12/02 17:01

嵐、嵐、嵐、マッチ、嵐……ジャニーズだらけのスポーツ紙はナゾだらけの“推理小説”だった<Number Web> photograph by BUNGEISHUNJU

各スポーツ紙が「嵐」一面で染まった11月4日(スポーツ報知、デイリースポーツ、サンスポ、スポニチ、東京中日スポーツ、ニッカン)

 私の野次馬根性がざわざわと騒ぎ出してきた。慌ててスポーツ紙を確認すると、

『嵐 大みそか配信ライブ決定』(11月13日・サンスポ)

『嵐 大みそか生配信ライブ決定 紅白より最後も「ファンと」』(11月13日・スポーツ報知)

 一面を「嵐」が飾っていたのである!

 これは……!?

 もちろん偶然の可能性も考えたほうがいいが、思わず水面下の「情報合戦」が頭に浮かんでしまった。

 一面だけではない。芸能面では「感動の嵐ラストステージ想定も 紅白思惑崩れた」(スポーツ報知)と大きく書かれており、リアルタイムでこの記事を読んでいた私は「嵐は紅白どうすんだろ」と記事そのままに、そっちに考えがいっていたことを思い出した。

時系列で見直してみると途端に「推理小説」に

 さらにさらに、マッチの活動自粛が発表された日(17日午前零時)の状況も改めて確認してみた。

 すると、その日中(16日)には紅白の出場歌手が発表されていた。つまり一面ではマッチの不倫が報じられていたのだけど、芸能面では華やかな紅白の記事で各紙にぎやかだったのである。

 唸りました。

 危機管理と言うか、やり手感と言うか。タレント、事務所、スポーツ紙記者のトライアングル。芸能面をめぐる情報の出し方の「攻防」。

 言っておくが、私はこの報道をけしからんという切り口で書いているのではない。この一連の流れに気づいて「あっ」となって、気づいた自分に嬉しくなってしまったのだ。普段なんとなく見てる紙面が、時系列で見直してみると途端に推理小説のような味わいさえあるではないかと。

 かつて竹下登は国会の日程をにらみながら国会対策を日々考えていたというけど、そういう意味で今月のスポーツ紙の芸能面はあとから振り返るとバツグンに面白かったのである。

 あ、竹下登というのは昭和最後の総理大臣のことです。私もおじさんですので昭和のことを説明せずにいきなり書いてしまいました。失礼しました。

 ちなみにマッチが活動自粛を発表した週の「週刊朝日」「AERA」「サンデー毎日」の表紙は揃って近藤真彦だった。間の悪さをネタにすることも面白いが、それ以上にスポーツ紙や週刊誌の「紙」を売っていくことのリアルについてしみじみ感じてしまったのです。

 というわけで以上、今月のスポーツ新聞時評でした。

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