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高卒1年目で異例の戦力外通告…どん底から一軍に這い上がったオリックス本田仁海「負けてらんない」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2020/11/27 17:01
11月1日の日本ハム戦でプロ初登板初先発を果たした本田仁海。4回7失点とホロ苦いデビュー戦となったが、得るものも多かった
再び「46」を背負った本田
投げられない期間のトレーニングで体の土台を作り直したことにより、スピード、質ともに向上した。体の線はまだ細いが、ボールの伸びや力強さが目を引いた。
「球自体が断然よくなりました。スピード的には1年目は(最速が)151kmあたりでしたが、154kmが出るようになりましたし、常時のスピードが上がりました。回転数も増えて、質も変わったと思います」と昨年、本田は手応えを語っていた。
そして、入団時と同じ背番号「46」で臨んだ今年はファームでローテーションを守り、防御率4.12で、チームで唯一規定投球回をクリアした。
そうしてつかんだプロ初登板は悔しい結果に終わったが、収穫もあった。今年9月下旬に、小林宏二軍監督に教わって習得したばかりの3つの変化球、チェンジアップ、カットボール、ツーシームを一軍の試合でも使えたことだ。
「僕は最初スライダー、カーブ、フォークしかなくて。先発で長いイニングを投げるためには、絶対に球種が多くあったほうがいいので、覚えました。それから1カ月ぐらいで、一軍の試合でもチェンジアップで三振を奪えたり、カットボールでもストライクを取れたりしたことはよかったです」
宮城大弥の初勝利に「負けてらんない」
11月6日の本拠地最終戦では、高卒新人の宮城大弥がプロ初勝利を挙げた。本田は、「すごいなーと。僕は来年4年目なんで、負けてらんないなと思いましたね」とライバル意識をのぞかせる。今は来季の開幕一軍入りを目指し、さらに向上できるフォームを試行錯誤しながらフェニックス・リーグを戦っている。
山本、山岡泰輔、田嶋大樹という若き先発の3本柱に加わろうとする若手有望株がひしめくオリックスに、また1人。絶望から這い上がった細身の21歳が「自分もその中に食い込みたい」と、来年のブレイクを狙っている。