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エリ女はラッキーライラックがルメール騎乗で連覇か? デアリングに隠れた3歳牝馬のレベルに注目
posted2020/11/14 17:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
京都競馬場が改修工事中のため、1984年のグレード制導入以降初めて阪神競馬場で行われる第45回エリザベス女王杯(11月15日、阪神芝内回り2200m、3歳以上牝馬GI)のゲートインが近づいてきた。
エリザベス女王杯は、秋華賞が創設されるまでは牝馬三冠の掉尾を飾る3歳限定戦で、京都の芝2400mで行われていた。古馬に開放されてからは京都芝2200mが舞台となり、牡馬相手では厳しいが、中・長距離で強い牝馬たちを(言葉は悪いが)救済するために存在しているようなイメージがあった。
しかし、そのイメージがここ数年で一変した。過去5年の勝ち馬のうち3頭が、翌年、牡馬混合のGIを制しているのだ。牝馬同士のGIであることに変わりはないのだが、もはや、牝馬という枠のなかで見るべき争いとは言えなくなっている。
ラッキーライラックが史上4頭目の連覇を狙う
前述したようにここを勝ったあと牡馬相手のGIを制した馬が、今年の出走馬のなかにもいる。
史上4頭目の連覇を狙うラッキーライラック(5歳、父オルフェーヴル、栗東・松永幹夫厩舎)である。
早い時期から素質を評価され、無敗で2歳女王となった。3歳初戦のチューリップ賞を制して桜花賞に臨み、単勝1.8倍の1番人気に支持されるも、アーモンドアイの2着。それからしばらく勝ち鞍に見放されたが、昨年のこのレースで1年8カ月ぶりの勝利を挙げる。道中8番手につけ、メンバー最速の上がり3ハロン32秒8という豪脚で突き抜ける、強い競馬だった。次走の香港ヴァーズでは日本のグローリーヴェイズの2着、今年初戦の中山記念で2着となったあと大阪杯を制し、GI3勝目をマークした。
つづく宝塚記念は、ポジションを取りにいったぶん伸び切れず6着。札幌記念でも2番手から積極的なレースをしたが、3着。どちらも脚を溜める局面がなかったことが敗因だと思われる。