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なぜ楽天・涌井秀章(34)はウエートトレーニングをピタリとやめた? 本人が明かすイチローとダルの影響
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKYODO
posted2020/11/07 11:03
今季チームトップの11勝。自身4年ぶりの2桁勝利を挙げた涌井
ダルビッシュからの1通のメール
地道なトレーニングは、言うまでもなくパフォーマンスにも反映されている。投手にとって生命線である投球フォーム。今季、その再現性が高まっているというのだ。
「結構いい形に、ある程度は思った通りに投げられていると思います」
フォームが安定することによって、制球力も高まり、球威も増した。とりわけ、ストレートの質が向上したのだと涌井は言う。
背景には、盟友のアシストも絡んでいる。
「去年の夏くらいに、ダルビッシュから『真っすぐの握りを変えたらよくなった』ってメールがきて。それを取り入れたら、自分もよくなったんですよね。そういうのも、今年にちょっとつながっている部分はありますね」
「あと5年くらい、しっかり投げられるように…」
このとき、涌井はダルビッシュと交わした「約束」がある。
「あと5年くらい、しっかり投げられるように頑張ろうな」
本来の自分を取り戻し、新たなステージに進むまで、涌井は少しだけ遠回りしたのかもしれない。だが、その間、とことん自分の体と会話を重ね、より理解できた。
だから、もう迷うことはない。
「30歳を過ぎると、35、40って5年おきくらいに体の変化を実感するみたいなんで。だから、怪我をしないようにケアだったり、トレーニングをしっかりやっていきたいなって思ってはいますね」
涌井は来年35歳になる。きっと、体の変調を自覚するのだろう。
彼にとって衰えを知らせるシグナルか?
そうではない。さらなる進化の兆しである。