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アドマイヤラクティの死から6年 メルボルンCで崩れ落ちた優駿を忘れない…今年もまた同レースで悲劇が
posted2020/11/06 17:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
11月3日。日本では“文化の日”となるこの日、公営のJBCが史上初めて大井競馬場と門別競馬場の2コースで同時開催された。同じ日の少し前の時間には、オーストラリアでメルボルンC(GI、フレミントン競馬場、芝3200メートル)が行われた。
例年、11月の第一火曜日、現地時間の午後3時にスタートを切るこの南半球最大のレースを制したのは、アイルランドからの遠征馬トワイライトペイメント。若きジョセフ・オブライエン調教師にとってはリキンドリングに続き、早くも2度目の制覇となった。その反面、ジョセフ調教師の父でアイルランドのトップトレーナーであるエイダン・オブライエン調教師が送り込んだ2頭のうち、タイガーモスは半馬身差2着に惜敗。それはまだしももう1頭の出走馬であるアンソニーヴァンダイクは最後の直線で故障を発症。昨年、本場イギリスのダービーを制した名馬だが、残念ながらこの怪我で予後不良となってしまった。
少々前置きが長くなったが、メルボルンCがラストランになった馬として思い出されるのはアドマイヤラクティ(栗東・梅田智之厩舎)だろう。
GI制覇、そしてメルボルンCで1番人気
2014年に赤道を越えて現地入りした同馬は、10月18日に行われたコーフィールドC(GI、コーフィールド競馬場、芝2400メートル)に挑戦。初コンビを組んだZ・パートン騎手にいざなわれると最後の直線で楽々と突き抜けた。それまで天皇賞(春)やジャパンCでの4着(いずれも13年)こそあったものの、GIの舞台で先頭でゴールを駆け抜けたのはこれが初めて。自身初のビッグレース制覇を海の向こうで成し遂げてみせたのだ。
オージーにも強さを知らしめた同馬は、続くメルボルンCでは堂々1番人気に支持された。現地での注目度は当然高く、滞在していたウェルビー競馬場には連日報道陣が駆けつけ、コーフィールドCの勝ち馬の一挙手一投足を報じ続けた。
前走に続いて手綱を取る事になったパートン騎手も当時、自信満々に次のように語っていた。
「ハンデが増える(58→58.5キロ)けど、コーフィールドCでのパフォーマンスを考えたら何も問題ないでしょう。日本の3000メートル級のレースでも好走しているから距離も心配していません。僕はジョッキーとしてベストを尽くすだけ。それが出来れば前走同様、好結果が待っていると信じています」