ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
「君には修羅場が必要だ！」 秋山準がDDTの若きエース竹下幸之介に説く“面倒くさい人間”のススメ
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byDDT PRO-WRESTLING
posted2020/11/02 11:02
竹下幸之介との対戦を控えた秋山準（下）。潜り抜けてきた数々の修羅場の経験を、若きエースに見せつける
「プロレス」の中心にあるものを見せたい
――そのDDTに秋山さんは必要として呼ばれたと思いますけど。自分がどんな力になろうとしていますか？
秋山 僕にしかできないプロレスはあると思うんですよ。それをDDTの選手たちに伝えることができれば。また試合でも、僕が出ていくと空気が変わると思うんですよ。
――ピリッとしますよね。
秋山 僕自身、空気を変えるように出ていってますし。DDTには、楽しい試合、面白い試合、いろいろありますけど、僕の試合を観て何か感じてくれたらと思いますね。僕は彼らがやっていることは否定しないし、面白いことやってる試合も好きですし、全部ひっくるめて「プロレス」だと思っていますけど。その幅広い「プロレス」の中心にあるものが、俺がやってるプロレスなんだよっていうものを見せたいと思ってますし。「中心ってこれなのか」っていうのを感じてもらいたいですね。
――ジャイアント馬場さんから受け継ぎ、発展させてきた、いわゆる王道プロレスですね。
秋山 “中心”を知っていれば、そこからいろいろアレンジが可能になるんですよ。幹がしっかりしていたら、どんどん枝葉は広げられる。だからこそ、中心を知ることが必要なんです。
竹下を押さえつけるために呼ばれたと思っている
――高木三四郎社長からは、秋山さんに「こうしてほしい」みたいな要望はあったんですか？
秋山 特段、これっていうのはないですね。ただ、僕は「コーチ」って呼ばれてるんで、僕が培ってきたものを選手たちに教えるのが役目だと思っているので。道場で手取り足取り教えることもありますけど、プロレスっていうのは、闘いの中で学ぶというか、感じてもらうものだと思うんで。それをやっていきたいですね。
――DDTの中に入ってみて、印象が変わった部分はありますか？
秋山 上の子たちは、案外ガッチリ試合してるんだなって思いましたね。竹下（幸之介）くんとか、あの辺の人間が入ってから、ちょっとずつ変わってきてるんじゃないですか。
――今度の11.3大田区総合体育館では、その竹下選手と一騎打ちが組まれていますよね。これは、竹下選手がより大きくなるために必要なカードとして組まれたんじゃないかと思いますけど、秋山選手自身は、どう捉えていますか？
秋山 その通りだと思いますよ。彼がDDTのエースとしてもっと大きくなるための超えるべき壁として僕が用意されたんだろうな、と。ただ、まだまだ「タメ」が必要ですよ。高く飛ぶにはタメが必要で、いま飛んでも、さほど高く飛べないと思うんで。もっともっと押さえつけてこそ、バネの反発は大きくなるんじゃないですか。
――では、竹下選手のためにも、自分が押さえつける、と。
秋山 はい。そのために、僕は呼ばれたと思ってるんで。
