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大相撲・東京場所で土俵に舞う「清めの塩」は合計650kg! 使用する“超有名CM塩”のお値段は?
posted2021/02/21 11:01
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
KYODO
大関昇進を決める、正代の初優勝が記憶に新しい大相撲・九月場所。
化粧まわしに烏帽子、拍子木と非日常の景色が広がる大相撲には、私たちの暮らしに欠かせない、あるものが大切な役目を果たしている。関取が土俵に撒く、そう、「清めの塩」だ。年に3度の東京場所では、あの「伯方の塩」が使われているらしい。
意外な話を耳にして早速、伯方の塩を製造する伯方塩業株式会社に問い合わせた。
「はい、東京場所で使われているのは弊社の伯方の塩です。市販品とまったく同じもので、毎場所、相撲協会様にお買い上げいただいています。1日に使用される量は45kgほど。ひと場所で650kgほど消費されています」(プロモーショングループの井上純平さん)
土俵の傍らに置かれた竹籠に盛られた塩は、およそ5kg。私たちがスーパーなどで目にする伯方の塩1kgが390円(税抜)だから、竹籠ひと山分で1950円(同)ということになる。井上さんが、大相撲に採用された経緯を教えてくれた。
「大相撲に採用されたのは1987年五月場所からです。2代目の社長が弊社の商品をアピールしたいという強い思いから、つてを探して相撲協会様に売り込んだと聞いています」
'87年というのは、伯方塩業にとって大きな意味を持つ年。というのも大相撲での採用に加え、一度耳にしたら忘れられない「は・か・た・の・塩」、あの力強いサウンドロゴのテレビCMが始まった年でもあるのだ。
伯方の塩は豪快な塩撒きに最適
伯方の塩の登場で、清めの塩は劇的に変わった。従来使われていたのは塩化ナトリウム99%以上のいわゆる食塩。塩田製法を用いる伯方の塩とは味や触感、何から何まで違う。
「さらさらした食塩と違い、粗塩である伯方の塩は“にがり”と甘みのある水分がほどよく残っているので盛り塩にしやすい。粒も大きく、指の間からこぼれにくいと思います」
つまり手の平になじみ、たくさん撒きやすい。粒が大きく、土俵に舞う姿も映える。
かつては水戸泉、最近では照強が豪快に塩を撒き、館内を沸かせている。照強は雪合戦の雪玉をつくるかのように、右手でつかんだ大量の塩を左手で固めるようにして撒くこともあるが、これも伯方の塩だからできる芸当といっていいだろう。
両国国技館が大きく沸く清めの塩は、実は伯方の塩。そう思うと、大相撲になんだか親近感がわきませんか?