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元“公務員ランナー”川内優輝33歳「今年はレースがなさすぎて…」あの国家資格試験に合格していた
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKiichi Matsumoto
posted2020/10/30 17:05
昨年からプロランナーとなった川内優輝。コロナでの緊急事態宣言中、自身のTwitterで積極的にランニング情報を発信した
なぜ国家資格試験を受けることに?
そのノートの中身やコロナ禍でどうしてもモチベーションの上がらない自分自身への叱咤の言葉、そしてGo Toキャンペーンや高地トレーニングを生かした“新川内メソッド”については雑誌で詳細をご覧いただくとして、川内はランニング以外でも予定不調和な取り組みを始めていた。
それは国家資格である「国内旅行業務取扱管理者」の取得への挑戦という思いもよらぬものだった。
「埼玉県などから学校に通えずに寂しい思いをしている子供たち向けにメッセージをくれと言われて、『今しかできないこと、今できることをやりましょう』と言ったんです。その中には資格の勉強とかそういうこともありますよと。子供たちに勉強しましょうと言ったのに、自分が勉強しないのはよくない。自分の言葉には責任を持たないといけないと思ったんです。元々、高校、大学のときから興味のあった資格で、これまではなかなか時間がなかった。今年も年1回の試験の日にマラソンのゲストが入っていて受験できないはずだったけど、レースが無くなったから受けられることになったんです」
その前段階として、川内はオンラインでも受けられる民間資格の「日本旅行地理検定」にチャレンジした。
「上級で受からなかったらテンション下がるので中級に向かって勉強して、部屋の片付けをしながら合間に勉強していました。そちらは合格したので、国家資格の方も申し込んだんです。御嶽山での合宿の合間に一度山を降りて、9月に名古屋で受験しました。コロナでマイナス思考になりがちなのをプラスに捉えようと思ったんです」
予定不調和な時代に予定調和を許さない男。10月28日の合格発表、ここでは予定通りに(?)見事、国家資格に合格を果たした。
散発的に開催され始めたトラックのレースには積極的に出場しており、コンディションは上々。12月の福岡国際マラソン、旅行の企画や旅程の管理などもできるようになった川内が、きっと綿密な遠征プランを立てて、久しぶりに42.195kmの舞台に戻ってくる。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。