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井上尚弥のラスベガス初戦はハラハラ? 試合報酬もモンスター級、“軽量級の限界”の6倍以上!
posted2020/10/30 11:02
text by
前田衷Makoto Maeda
photograph by
Hiroaki Yamaguchi/AFLO
井上尚弥がジェイソン・マロニーを迎えるWBA&IBF世界バンタム級戦が今月末(現地時間10月31日)と間近に迫っている。前回のドネア戦ではソールドアウト2万超のファンの前で名勝負を演じたというのに、本場ラスベガス初登場がコロナ禍の影響で「無観客」とはなんとも気の毒。しかし全米に放映されるから、ぜひ本場のファンに怪物ぶりを証明してもらいたい。
日本のモンスターはすでに米国のファンや専門家の間でも評判になっている。昨年11月のドネア戦は米国の老舗専門誌「リング」から年間最高試合に選ばれ、同誌の現役PFP(パウンド・フォー・パウンド)ランキングでも、カネロ・アルバレス、ロマチェンコに次いで3位にランクインしている。これだけでも井上がどう評価されているか想像がつく。
さらに今度の試合報酬が100万ドルと大橋秀行会長の口から明らかにされたことも、怪物伝説に拍車をかけるだろう。軽量級の100万ドルはアメリカでも超破格なのだ。
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本場のボクシング界でも概ね軽量級の選手の報酬は安い。大橋会長から世界王座を奪い51戦不敗の記録を残して引退したリカルド・ロペスも、タイソンの前座等でラスベガスに登場した時は数万ドル程度だった。中米の宿敵ロセンド・アルバレスとの対戦でも15万ドルとされ、これが軽量級の限界といわれたものだった。
タフな選手が一撃で打たれもろくなることも
試合に関しては、井上が心身ともこれまでの力を維持していれば、まず勝てると思うが、ひとつ注目していることがある。前戦では難敵ドネアを制したものの、2回にドネアに左フックを直撃され、初のピンチも経験。試合後眼窩底骨折が判明した。相手がドネアだったから仕方ないとはいえ、あれほど深刻なダメージを受けて今後に影響を与えないか。本人はタフネスを証明できたとプラス志向だが、タフな選手がほんの一撃されただけで急に打たれもろくなってしまうこともあるのだ。
去る1月大橋ジムでスパー再開の日に取材した時の井上は、右目を庇うわずかな仕草もなく、いつものように強気で相手を圧倒していた。それでも今度のマロニー戦は少しハラハラしながら見守ることになるだろう。これに勝って、改めてカシメロとの王座統一戦に進んでもらいたいものだ。