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【ソフトバンク優勝/ギータ伝説】モスバーガーのバイトで始まった柳田悠岐と王会長の「夢」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/10/28 06:00
日本シリーズ第5戦、バットを折りながらのサヨナラホームランを打ち、工藤監督と抱擁する柳田。
ああ見えて、実は生真面目。
日本シリーズは故郷広島で決着した。プロ入りした後にも「カープファン」を公言した男には、「カープとやる日本シリーズは?」といった類の質問が当然のように数えきれないほど浴びせられた。
しかし、柳田はそのような質問にはクールな答えを返す。ああ見えて、実は生真面目な内面の持ち主なのだ。
日本シリーズは4勝1敗1分。真っ赤に染まったマツダスタジアムの真ん中で、工藤公康監督に続いて柳田の大きな体も少しだけ宙に舞った。
「夜空が綺麗で、心地よく、先輩方にも上げて頂いて、感謝の気持ちでいっぱいです」
広島から福岡にやって来て8年。柳田にとって忘れられない日本シリーズになった。
ハーパー(吉田)の真似っす。
ところで、件のサヨナラホームラン。柳田は「吉田正尚の真似っす」と笑っていた。バファローズの吉田と仲が良く、そのマッチョマンもまた今年8月にバットを真っ二つに折りながら本塁打を放つという規格外のことをやっていたのだ。
「京セラで会った時に話したんですよ。まさか、自分がね」
ちなみに柳田がシーズン終盤から使用しているフェイスガード付のヘルメット。あれも「ハーパー(柳田は吉田をそう呼ぶ)がつけていたから」と参考にしたそうだ。
厳しい内角攻めにあう柳田。怪我防止や安全対策は必要だ。
でも……。
出来れば来シーズンは、元に戻してもらえないだろうか。
フェイスガードがあると、柳田がフルスイングで空振りをしてもヘルメットが飛んでいかないのだ。柳田は球界で唯一、空振りでスタンドを沸かせるバッターなのだ。空振りでもゼニをとれる男だと思っている。
すごくワガママなお願いなのは承知の上。御検討、是非ともお願いします。