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遠藤航は「最も重要な選手」と指揮官 香川真司を発掘したSDとシュツットガルト再建へ
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/10/17 17:01
日本代表コートジボワール戦でも効いていたプレーをブンデスの舞台でも見せたいところだ
遠藤「早く前につけるのを常に狙って」
「しょうがないというか……、そんなに気にしていないというか……。そういった反応は悪いことだと思わないし、『前に行けよ』って合図を送ってくれているんだろうと思ってやっています。
僕たちも、やっぱりやりたいサッカーというか、監督のやっているサッカーをしながら、しっかりボールをつなぎながら前に前にということは常に意識しています。僕も個人的に早く前に(パスを)つけるのを常に狙っているし、意識しているところです」
昨シーズン、そんなふうに語っていたことがある。どんな状況でもぶれないメンタル。動じないのではなく、ポジティブに解釈してパワーに変えている。実に頼もしい。
ブンデスリーガ1部初挑戦となる今季も攻守をつなぎ、チームのバランスを絶妙に取り続けている。
守備ではインテリジェンスを感じさせるポジショニングでスペースを管理し、対人では粘り強く激しいデュエルでボールを奪取する。ヘディングでの競り合いにも強い。加えて攻撃での貢献も素晴らしい。
ゴールやアシストという直接的な数字は少ないので目立たないかもしれないが、遠藤がアシストの1つ、2つ前となるパスを前線に好タイミングで供給しているからこそ、攻撃がうまく機能している。
遠藤を外して考えることはできない
第2節のマインツ戦の決勝点は、まさにそんな遠藤の絶妙なプレーから生まれている。中盤でボールを受けた遠藤が、抜群のタイミングでカライジッチへスルーパス。すると、完全にフリーで抜け出したカライジッチはGKをおびき出してから横パスをゴール前に送り、走り込んだディダビが無人のゴールに流し込んだ。
「(遠藤を)外して考えることはできない。スペースを埋めることができるし、チームにおける攻守の起点だ。今、チームで最も重要な選手といえるだろう」
マタラッツォ監督の言葉がすべてを物語っている。
新たな哲学とともに、勇敢なチャレンジを進めている名門シュツットガルト。その中で遠藤は象徴的な役割を担い、まずはファーストステップとして1部残留を狙う。