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遠藤航は「最も重要な選手」と指揮官 香川真司を発掘したSDとシュツットガルト再建へ 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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posted2020/10/17 17:01

遠藤航は「最も重要な選手」と指揮官 香川真司を発掘したSDとシュツットガルト再建へ<Number Web> photograph by Getty Images

日本代表コートジボワール戦でも効いていたプレーをブンデスの舞台でも見せたいところだ

「ドルトムントで始めたことを思い出す」

 ミスリンタート、さらにはクラブOBで会長のトーマス・ヒッツルスペルガーはそうしたチーム作りを推し進めている。

 事実、現チームでは出場機会を与えられた期待の若手が、アグレッシブで勇敢なプレーを見せてくれている。ミスリンタートはユルゲン・クロップ監督の下でリーグ2連覇を遂げたドルトムント時代を振り返りながら、自分たちの哲学について次のように語る。

「私がシュツットガルトを選んだのは、似たような哲学を持ち、一緒に目標を達成しようとしていると感じたからだ。2006年にドルトムントで始めたことを思い出す。今の我々が持っている条件は当時のドルトムントのそれとは違う。それでも、我々はそうした道へ終始一貫して立ち向かっていくつもりだ。勇気を持って、若いタレント豊かな選手にプレー機会を与え、成長へと導く。選手を、チームを信じていくことだ」

 とはいえ、核となるところではベテラン選手や外国籍選手の存在が重要になってくる。ミスリンタートは、そのあたりのバランスも考慮している。

「これまでも、若手だけでなくベテラン選手も大事なのだと主張してきた。彼らが若手にいろいろなことを伝えてくれている。プレーのことだけではない。そうした選手の存在が、チームにどれだけの安心を与えてくれているか。重要なのは若手かベテランかではなく、いいミックスの中でいい雰囲気を作り上げることだ」

遠藤航が積み重ねた経験値の大きさ

 遠藤航は、そんなチームの中で、主軸として絶大な存在感を発揮している。年齢的にはベテランというほどではないが、積み重ねてきた経験値は高い。大袈裟でもなんでもなく、遠藤がいるといないとでは、チームの安定感がまったく違う。

 シュツットガルトは昔からファンの要望が高く、少しでもうまくいかないとすぐに批判の声があがる。ビルドアップからなかなかボールを前に運べないと観客が愚痴り始める。GKへのバックパスが増えてくると、“プレースピードを上げろ。遅すぎる”とブーイングが飛び出す。

 ミスリンタートは「多くの若手がプレーしている現在は、プレッシャーで選手が自分の持ち味を出せない事態になることもある」と危惧していたが、そのような点からも遠藤のような、どんな状況にも冷静に対処できる選手は貴重だ。

【次ページ】 遠藤「早く前につけるのを常に狙って」

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