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内藤哲也、3冠へG1クライマックス開幕2連勝 棚橋に「背中が遠い」と言わせた男の夢
posted2020/09/26 11:30
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
9月19日に大阪で開幕した新日本プロレス、30回目のG1クライマックスは24日、札幌で4大会目を終えた。エントリーされている20選手はそれぞれ2試合ずつを消化した。
波乱や番狂わせが起きる中、IWGPヘビーとインターコンチネンタルの2冠王者で、このG1も制覇して「3冠王者」をもくろむ内藤哲也は順当に2連勝した。内藤は気分よく「デ・ハポン」を、ファンは静かに「デ・ハポン」を心の中で叫んだ。大阪で内藤はファンにこんなメッセージを送った。
「11月(7日)の大阪大会は、この2本のベルト、そしてG1クライマックスのトロフィーを持って入場することになるでしょう。その時を、トランキーロ、焦らずに、そして楽しみにお待ちください」
「弱気はダメだけど、内藤の背中は遠いな」
9月20日の大阪での棚橋弘至との試合は27分を超える熱いものだった。棚橋はこのG1に合わせてウエイトもかなり絞って、よく動けた。場外へのダイブも見せて、これには棚橋が余程の覚悟で臨んだものであるのがよく伝わってきた。
「しっかり、G1に向けて、ベストなトレーニング、息上げ、体幹、フィジカル、合わせてきた。けれど、結果が出ない。改めて思うのは、努力っていうのはみんなしている。内藤はきっと、オレ以上の努力していたんだと思う。今、こういう状況の中で開催されるG1。ベルトを持っている意味。それはオレの予想をはるかに超える速いスピード……。ああ、ダメ。初戦だから。まだ公式戦、いっぱい残っているから。弱気はダメだけど、内藤の背中は遠いな」(棚橋)
「内藤の背中は遠い」と弱音を見せた棚橋に、内藤はどんな気持ちだったのだろうか。
「(棚橋が)この内藤戦に懸ける意気込みは強かったでしょう。なんなら、他の8試合全敗してでも、内藤にだけは勝利したかったはずだよ。いろいろ溜まっていたでしょう。いっぱい吐き出せばいいよ。ただし、オレにとっては残念ながらリーグ戦の中の1つでしかなかったかな。確かにオレは、棚橋への思い入れはあるよ。でも残念ながら、今現在、オレを脅かす存在ではないな。まあ、確かにこのリーグ戦、1敗すれば、2敗までセーフだ。3敗までぎりぎり間に合うんじゃないか、みたいなね。そんな甘い考えは、オレの中ではないよ。すべて勝って、そして優勝決定戦へ進む。そこでも勝って、全勝で優勝することこそ、今、オレに求められていることだし、G1クライマックス優勝者に求められていることだと思うんでね」