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羽生善治九段、タイトル100期に向け大一番に挑む「不安や恐怖や追い詰められた気持ちを楽しむ」 

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2020/09/19 15:20

羽生善治九段、タイトル100期に向け大一番に挑む「不安や恐怖や追い詰められた気持ちを楽しむ」<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

羽生善治九段(撮影別日)

 本日、羽生善治九段(49)と丸山忠久九段(50)による第33期竜王戦挑戦者決定戦三番勝負第3局が東京・将棋会館で行われている。

 午前10時に始まった対局は、振り駒の結果、羽生九段が先手となり、戦型は後手番の丸山九段が得意の「一手損角換わり」に誘導した。勝てば豊島将之竜王(30)への挑戦が決まる。

 羽生九段は現在までにタイトルを通算99期獲得。すでに歴代最高記録ではあるが(2位は大山康晴十五世名人の80期)、次のタイトル挑戦では前人未到の大台である100期がかかる。

「ありきたりですけど、楽しむしかない」

 このような大一番に、将棋界のレジェンドはどのような心境で臨んでいるのだろうか。

「Sports Graphic Number」では、アスリートのメンタルに焦点を当てた特集「メンタル・バイブル」(781号、2011年6月23日発売)に、羽生九段に登場していただいたことがある。

「調子の上がらぬ朝にこそ、すべきことがある」という記事のなかで、筆者の高川武将氏の「対局中のマイナスの感情をどう処理しているのですか?」という問いに羽生九段は次のように答えている。

<集中に変えていく。それには、ありきたりですけど、楽しむしかない。不安や恐怖や追い詰められた気持ちを楽しむ。極度の緊張状態は、日常生活の中にはないものですよね。つまり将棋やスポーツがあるというのは、そういうことなんじゃないかな、と思うんです>

 ただし、そのようなメンタルで臨んだとしても、対局で勝つのは簡単なことではないようだ。

【次ページ】 やつれた表情で、宙の一点を見つめる羽生

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