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鈴木みのる、神宮での拍手と文体への惜別。「ゴミクズみたいな横浜文化体育館! 寂しいじゃねえか」

posted2020/09/05 11:30

 
鈴木みのる、神宮での拍手と文体への惜別。「ゴミクズみたいな横浜文化体育館! 寂しいじゃねえか」<Number Web> photograph by Etsuo Hara/Getty Images

8月29日、SUMMER STRUGGLE in JINGUで激闘を繰り広げた鈴木みのる(右)と鷹木信悟。大きな拍手に包まれた鈴木の道は横浜文体と深く結びついていた。

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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Etsuo Hara/Getty Images

 プロレス界にとってこの夏最大の興行は、コロナ禍で大規模イベントの観客数上限が5000人と定められた中、新日本プロレスがあえて放った夏の野外ビッグイベント、8.29「SUMMER STRUGGLE in JINGU」神宮球場大会だった。

 そのメインイベントは前王者である内藤哲也が、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンからバレットクラブに寝返った“裏切り者”の王者・“キング・オブ・ダークネス”EVILに挑戦するIWGPヘビー級&IWGPインターコンチネンタル2冠タイトルマッチ。

 内藤は、EVILの参謀役ディック東郷を始めとしたバレットクラブ勢の試合介入に苦しめられながらも、盟友ロス・インゴ勢の助けにより1対1の状況になると形勢逆転。最後はバレンティアから必殺のデスティーノを決めて3カウントを奪取。見事、2本のベルトを奪還するとともに、コロナ禍で歓声が制限された観客と心の中で一緒に叫ぶ「デ・ハポン!」締め。すると次の瞬間、神宮の夜空に花火が打ち上げられ、大団円となった。

 この日の観客数は4710人。大規模野外イベントとしては採算度外視の興行であっただろうが、プロレスファンにとって「2020年の夏の記憶」とともに、思い出に残る大会になった。開催を決めた新日本プロレスの英断に拍手を送りたい。

神宮を包んだ拍手が表している。

 そんな8.29神宮球場大会で、メインイベントを押さえて、ファンから「神宮のベストバウト」との支持を集めたのが、鷹木信悟vs.鈴木みのるのNEVER無差別級選手権試合だ。

 鈴木は7.31後楽園ホール大会のメインで、永田裕志との壮絶な殴り合いの激闘を制したあと、「次行くぞ、次。もう目星はつけてある」と語っていたが、その標的がNEVER王者の鷹木信悟だった。

 先のシリーズでの前哨戦から感情むき出しの闘いを繰り広げてきた両者は、神宮球場でもゴングと同時に激しいエルボーの打ち合いを展開。そしてケンカマッチでありながら、しっかりと技術の攻防も見せて、観客の目を釘付けにした。

 鈴木は、昨年の「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」準優勝者である鷹木にスピードでも負けることなく応戦し、最後はエルボーの打ち合いで上回り、スリーパーホールドからゴッチ式パイルドライバーで勝利。2度目のNEVER無差別級王座戴冠をはたした。

 試合後、両者がダグアウトから控室に消えていったあと、大きな拍手が神宮球場を包んだのは、コロナ禍で声を出しての応援が自粛される中でも、この試合がファンの心を捉えたまさに証明と言えるだろう。

【次ページ】 思いが詰まった横浜文体出場を宣言!

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