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マイノリティーとして生きる前田健太、菊池雄星の「BLM」への言葉。政治的ではなく、人間として。
posted2020/09/07 08:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
長きにわたり米国社会に横たわっていた差別問題に対して、MLBでも各球団が一斉に立ち上がった。
今年5月、ミネソタ州で黒人男性のジョージ・フロイド氏が地元警察官に殺害されたことで、全米中に「Black Lives Matter(黒人の命も大事だ)」とのスローガンを掲げた抗議運動が広がった。これはトランプ大統領が米国民の抗議デモに対して州兵に鎮圧を指示したことなどを含め、大きな社会問題に発展。やがて世界中に広がっていった。
その間、新型コロナウイルスの感染拡大で開幕が延期となっていたMLBでも、デービッド・プライス、ムーキー・ベッツ(ともにドジャース)、アンドリュー・マカッチェン(フィリーズ)ら実力派の黒人選手がSNSなどを通して次々に抗議の声を挙げていた。
「僕も日本人。チームは家族」
開幕後も、メジャー全体の「BLM」への意識は深まるばかりだった。8月23日、ウィスコンシン州内で黒人男性が警察官に銃撃されたことを受け、メジャーでは26日に3試合、27日には7試合が差別へ抗議する目的で延期された。いずれも、各球団の選手が自発的に話し合った結果だった。メッツのドミニク・スミスが涙ながらに会見を行ったのをはじめ、各球団でも選手間では活発かつ感傷的な意見が交わされた。延期を決めた球団だけでなく、機構側も選手の意向を尊重する声明を発表した。
27日、今季初勝利を挙げたマリナーズ菊池雄星は、事前に行われた延期に関するクラブハウス内でのミーティングについてしみじみと語った。
「涙をこぼす選手もいました。僕も(マイノリティーである)日本人。チームは家族ですし、辛い時はサポートしたいと思います」