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ジオリートのノーヒッターが示す事。
「2年前、最悪の投手だった彼が……」

posted2020/08/31 19:00

 
ジオリートのノーヒッターが示す事。「2年前、最悪の投手だった彼が……」<Number Web> photograph by Getty Images

ノーヒッターを記録してチームメイトに祝福されるルーカス・ジオリート。選手の成長曲線とは読めないものなのだ。

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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「野球人生で最高の思い出? リトルリーグの時にサヨナラ満塁本塁打を打ったことかな? 僕はその時11歳で、ベースを1周しながら涙が溢れてきたのを覚えている」
ルーカス・ジオリート(ホワイトソックス史上19人目のノーヒッター達成者)

 今季、ア・リーグの台風の目となっているホワイトソックスのエース、ジオリートが8月25日火曜日に行われた地元シカゴでのパイレーツ戦で、昨年9月のジャスティン・バーランダー(アストロズ)以来となるメジャーリーグ史上305度目のノーヒッターを達成した。

 ホワイトソックスの投手がノーヒッターを達成したのは、2012年4月にフィリップ・ハンバーが敵地でのマリナーズ戦で完全試合を達成して以来球団史上19度目で、本拠地ギャランティードレイト・フィールドでの達成は2009年7月に左腕マーク・バーリーが完全試合を達成して以来だった。

 球団史上2番目に若い26歳で快記録を達成したジオリートは試合後、素直にその心情を口にしている。

「(ノーヒッターを)意識したのは6回ぐらいだけど、7回を抑えた後、『あとアウトを6つ取ればいいんだ』と考えていた」

「2年前最悪の投手だった彼が……」

 全101球の内、バックスピンの利いた4シーム・ファストボール=速球が47球、チェンジアップが38球、そしてスライダーが16球で、実に30回もの空振りを奪って自己最多の13三振を奪った。

 中継局である地元NBCスポーツシカゴのスタジオ解説者オジー・ギーエンは、井口資仁内野手が活躍した2005年のワールドシリーズ優勝時の監督で、前出の左腕バーリーのノーヒッター(と完全試合)の時に指揮を取っていた人だ。

 ギーエンは当時を思い出しながら「(ノーヒッター進行中は)ベンチにいるとどうにも落ち着かないが、監督としてはそれを表に出すわけにはいかなかった」と話し、こう言葉を続けた。

「(ジオリートのノーヒッターの)何がもっとも素晴らしいのかって言うと、2年前、メジャーリーグ最悪の投手だった彼が、今ではこのチームのエースとして、メジャーリーグ最高の投手の1人になったってことだよ」

【次ページ】 2年前の防御率はなんと6.13。

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