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半年ぶりに再開! 来夏を見据えた熱闘。
リードジャパンカップレポート <女子編>

posted2020/09/01 11:00

 
半年ぶりに再開! 来夏を見据えた熱闘。リードジャパンカップレポート <女子編><Number Web> photograph by Ichiro Tsugane

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津金壱郎

津金壱郎Ichiro Tsugane

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Ichiro Tsugane

「まさかこんな日がくるなんて」

 柿崎未羽(東京都山岳連盟)が嬉しさを語るその横で、森秋彩(茨城県山岳連盟)は優しい笑みをたたえていた――。

 8月10日から岩手県盛岡で開催された『リードジャパンカップ』。新型コロナウイルスの感染対策がしっかり採られたなかで行われた競技は、8人で争う決勝で4人が完登。最終的に準決勝ラウンドの順位のカウントバックで成績が決まった。

 最初に完登したのは平野夏海(国士舘高)だった。準決勝の競技を終えた時点で、平野より後に出番のくる選手の顔ぶれを考えると決勝進出は難しい状況。自然と平野の目からは涙がこぼれた。しかし、他の選手のまさかの失速により、平野は準決勝8位で「最低目標は決勝進出」を果たすことになった。

「決勝での完登はうれしかったです。だけど、課題が簡単だったので、後から出てくる選手たちもみんな完登するだろうなと思ったし、準決勝のミスが今後への反省材料です」

野口啓代もしっかりと完登。

 平野に続いて完登を決めたのが準決勝5位通過で、4番目に登場した柿崎。身長150cmの平野と同じか、それよりもやや低い柿崎も高度をどんどん稼いで完登を決めた。

 この時点で準決勝の順位が高い柿崎が暫定1位、平野は暫定2位となったが、残す選手は4人。表彰台圏内に残れるかは、準決勝で自分たちよりもいいパフォーマンスをした選手たちの結果次第となった。

 準決勝3位通過の野口啓代(TEAM au)も完登を決める。

「私が登る前から完登者が出ていて、きっと簡単な課題なんだろうなと思っていたので、しっかり登れてよかったです。予選や準決勝よりも簡単な課題で、登らなければいけない緊張感もありましたが、ミスなく登れたのがよかった」

【次ページ】 優勝した森が苛まれていた不安とは。

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