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ロナウドを交代させたファンの声。
いまのJにある“空気”は根付くか。
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/08/01 11:30
静寂のスタジアムで聞こえた選手やファンのリアルな声。サポーターの歌声や手拍子もいいが、また異なった趣を感じることができた。
歓喜もため息も全部聞こえる。
プレーの音、選手の声、そして忘れてはならないのがファンの反応だ。
歌ってはいけないルールの中で、ファンはひとり集中してゲームに見入っている。そして、拍手で懸命にチームを鼓舞しようとする。
プレッシャーをかけて、相手が少しでもボールを下げるだけで、スタジアムは大きな拍手に包まれる。もちろんいいパスが通ったり、必死で身体を張ったりしたときも拍手がわく。
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アウェーチームのファンがいないため、応援はホームチーム一辺倒。ホームとアウェーのファン同士が張り合うようにして声を上げていたコロナ以前に比べて、ホーム感が強く出るようになった。
なによりも好ましいのが、ファンの素直な反応が伝わってくるところだ。
いいプレーがあると思わず歓声や叫び声が上がり、ミスやピンチになるとため息やざわめきが漏れる。
なかばルーティン化した歌声や手拍子ではなく、1人ひとりが自然にゲームに反応し、それがひとつの感情となってスタジアムを包み込む。
海外のスタジアムに似た空気が生まれつつある。
コロナがいつか終息し、さまざまな制約がなくなったとき、Jリーグに新しい観戦文化が根づいているかもしれない。