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井出遥也がヴェルディで必然の輝き。
2人の指導者が授けた緑のエッセンス。
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/07/27 11:30
ヴェルディ下部組織育ちではない井出遥也が、ヴェルディらしい技巧派として主力になっているのは興味深いところだ。
「ネイマールみたいな進入角度で」
永井は言った。
「ハルはいやがるだろうけれど、ボールの持ち方やステップの踏み方など、昔の自分のプレースタイルに似ているところがある。もちろん、もっと高いレベルを目指すべき選手ですし、そうあってほしいというのが私の希望です」
くだんのゴールについて、菅澤の述べた見解はこうだ。
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「シュートに入る前の雰囲気がよかった。カットインの角度がね、ほかの選手とはちょっと違うんです。ややマイナス気味にボールを動かし、ネイマールみたいな進入角度でゴール前に出ていける。まあ、それはちょっと言いすぎだな。とはいえ、相手の逆を取ってはがせるところは重要な武器だと思います。ハルは自分が見てきた才能のある選手のなかで、誰よりも欲が乏しい。おそらく晩熟型で、本気になったのが遅いからお楽しみはこれからですね」
菅澤と永井、両者のサッカー観は相違があり、生き方もまた異なる。だが、ともに同じ場所でサッカーのエッセンスを吸収してきた指導者だ。
井出が東京Vで水を得た魚のように躍動できるのは、必然の帰結である。