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崖っぷちサンプドリア奇跡の残留。
「正常化請負人」ラニエリの手腕。
posted2020/07/26 11:50
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph by
Getty Images
今年の7月19日、無観客のエンニオ・タルディーニ。パルマの圧力に屈し前半で2点のビハインドを負っていたサンプドリアは、後半に入って勢いを得た。
開始早々に得たCKのチャンスでDFジュリアン・ヒャボットがヘディングシュートを決めると、主将のファビオ・クアリアレッラの芸術的なシュートで同点へと追いつく。
そして78分、頼れる主将とワンツーを交わしてエリア内へ飛び込んできたのは、23歳のフェデリコ・ボナッツォーリだ。ロックダウン後の6試合で4得点と当たっていた彼が、逆転ゴールを決めた。
結局サンプは3-2で劇的な逆転勝利を収めた。
勝ち点を41まで伸ばした彼らは、18位レッチェとの勝ち点差を残り4試合で12とした。一方、レッチェはジェノアに敗れて勝ち点29のまま。直接対決の成績で上回るサンプが、セリエA残留を決めた。
シーズン前半の惨状を考えれば奇跡のような歩みだ。
ラニエリ監督の新たな成功物語。
開幕7試合を終えての順位は最下位、1勝6敗、勝ち点はたったの3と、クラブ歴代でも最悪の出だしだった。しかし、そこからの27戦で実に勝ち点38を集めた。
とりわけ新型コロナウイルス感染症によるロックダウンを経てリーグが再開された後は、5勝4敗。再開後の成績だけで順位をつけるとしたら、勝ち点15はなんとナポリと並んで5位相当になる(7月19日時点。ちなみに1試合少ない7位ユベントスの勝ち点は14)。
サンプドリアの急回復を可能にしたのは、第8節からチームを指揮したクラウディオ・ラニエリ監督の存在あってこそ。4年前にレスターを優勝に導いた68歳の名伯楽は母国に戻って、また新たな成功物語を描いた。