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ジェッツ原修太が難病公表を決断。
泣くより笑ってほしい2年の闘病記。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byCHIBA JETS FUNABASHI
posted2020/07/22 19:00
ジェッツに欠かせない選手に成長した原修太。筋肉もメンタルも伊達ではない。
看護師をあきれさせたリハビリ。
2週間ほどで腹の痛みも落ち着いてくると、看護師や医者を少しずつ困らせるようになった。
食事の量について、少しでも増やしてほしいと頼み込んだ。原と同じ187cmの一般男性がこの病気で入院すれば、体重が15kgから20kg落ちるなんてこともざらにある。
しかしアスリートとして、そこまで体重が減るのは致命的だ。懇願を続けた効果もあり、原の場合は10kg程度減るだけですんだ。
また、元気がありあまっていたから、安静をすすめてくる医師にはこう訴えかけた。
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「ストレスは大敵なんですよね? このままジッとしていたら、逆にストレスがたまってしまうかもしれないです!」
最終的にリハビリステーションには異様な光景が広がることになった。高齢者がリハビリのためにゆっくり身体を動かしている一方で、部屋の真ん中に設置してもらった室内用のエアロバイクを原が力強くこいでいる。
退院の直前には、1日のうち午前と午後の2回身体を動かすようになり、シャワーも1日に2度、浴びていたほど。そんな患者はいないから、看護師にはあきれられた。
「原さんなら、仕方がないですね……」
同じ病気を抱えるアスリートは多い。
考え方が変わり、元気に身体を動かしていく。
そこまで前向きになれたのは、なぜだったのか。
医師から選手生命をたたれるものではないという説明があったのに加えて、ショックを受けるよりも前に、スマートフォンで調べはじめて気がついたことがあったからだ。
すぐにわかったのが、この病気に悩まされている人が多いこと。安倍晋三首相が有名だが、原にとって大きかったのは、この病気を抱えながら競技を続けているアスリートが多いという事実だった。
完治することはなく、ずっと付き合っていく病気ではあるものの、この病気自体がアスリートとして活躍する妨げにはならないという。