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400mH世界歴代2位ワーホルム。
「時計がゼロから始まる素晴らしさ」
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byPUMA
posted2020/07/25 08:00
2019年の夏に400mハードル史上3人目となる46秒台を出したワーホルム。
効率化と練習を減らすことは違う。
大会の中止や延期が決定するなか、モチベーションを保ち続けるのは難しい。そんななかで結果を残せたのは、彼のメンタルの強さ、そして自身の成長にフォーカスをするという姿勢が大きいのだろう。
「自分が強いメンタリティを持っていると信じたいですね。そのためには、ないものねだりはせず、今、自分が持っている力だけでいかに立ち向かえるか。大事なのは、大会で勝つことではなく、常に最高の自分になるために挑戦し続けることです。
よく『自分は効率よくトレーニングしている』という人がいますが、私はいつも『それは効率が良いのではなく、トレーニングの量が少ないだけでは?』と尋ねるんです。効率化とサボることは全くの別モノです。ちなみに私が効率の良いトレーニングをするために重要視しているのは、怪我のリスクを減らすシューズを選ぶということ。
今年の特別な状況下でトレーニングをするのは簡単なことではないけれど、私はいつも自分自身の成長を目標にしてきました。だから、今回のような突然の状況の変化にも対応することができたんだと思います。負けることは怖くはありません。なぜなら、自分の成長が止まることの方が怖いからです。陸上競技などのスポーツが素晴らしいのは、レースのたびに時計がゼロから始まることだと思っているのです」
どんな状況でも進化は止まらない。
世界陸連開催の次の大会は、8月11日のコンチネンタルツアー・ゴールドラベルのフィンランド・トゥルク大会が予定されている。
だが、新型コロナウィルスの状況次第では、変更になる可能性もある。それでもワーホルムは変わらず進化をしていくのだろう。
「コロナウィルスとの戦いは世界中の人々が協力しなくてはならない、最優先事項です。ノルウェーでは、少しずつ状況がよくなってきています。他国でも1日でも早くこの状況が収束することを祈っています」