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自粛で練習が減ったら球速アップ?
この夏、高校野球で起きている事。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/07/26 09:00
近年の甲子園は、膨大な練習と膨大な食事を吸収できた"ガタイ”がいい選手が多い。しかし、もっと無理なく成長することができるとしたら……。
練習時間減少のプラス効果?
部活動自粛などで練習時間が激減していることについても、実は意外な副産物があるという話を耳にするようになった。高校野球の指導者やトレーナーから聞こえてきたのは、こんな声だ。
・生徒たちの体が大きくなっている。
・投手の球速が伸びている
・飛距離が伸びた
関西で高校生のトレーニング指導を行っているトレーナーは、こう証言している。
「自粛期間があっていつも通りの練習をしていないので、再開しても選手はなかなか動けないのではと思ったのですが、意外と体ができていることが多かった。さすがに身長は変わらないですが、横にがっしりしてきています。特に練習メニューの意味を選手たちが理解しているチームは、個々人が考えて練習をしていたのだろうと思います」
言われたことをやる上意下達の色が濃かった高校野球界でも、トレーナーなどと関わることで選手の意識が向上しているケースも多そうだ。
練習が減って球速が上がった?
また5、6月は練習試合真っ盛りの時期であり、その期間が自粛になったことで過度なトレーニングが避けられ、選手のパフォーマンスにポジティブな変化が起きていると証言する人もいる。北信越地区の高校のコーチもこう語る。
「うちのチームで顕著なのは投手の球速が上がった事です。エースが132→137キロ。メンバー外だった投手が126→131キロ。そのほかにも127→134キロになった選手がいたり、明らかに投手陣は投げる球の質が良くなりました。
本人たちが自粛期間を上手に過ごしたのだと思いますが、野球の障害は圧倒的にオーバーユースによることが多いので、練習が減ったことの影響は大きいと思います。また今は動画でトレーニングやフォームを観られるので、イメージを頭で描きやすいということもあるかもしれません」