ネルシーニョの名言
あのポジションのことは熟知している。だから一切の妥協はしない。
ネルシーニョ(サッカー)
2020/07/22
J1昇格から一気に頂点にまで駆け上がった2011年シーズンの柏レイソル。この年にブレイクしたのが、右サイドバック酒井宏樹だ。前方にポジションを取る10番レアンドロ・ドミンゲス(現・横浜FC)とのコンビで右サイドを占領。チーム躍進に大きく貢献した。だが、指揮官ネルシーニョはかつて自らもプレーした同じポジションの若者に、厳しい目を向け続けた。「前半の出来が悪くて、怒られるだろうな……と思って引き上げると大抵やられる」とは酒井の弁だ。特に口酸っぱく言われたのは攻撃参加について。正しいタイミングで飛び出せ、斜めのスペースも見逃すな、ダイレクトプレーやロングボールも効果的に出すべきだ、と。日々の細かい指導の中で酒井は急成長を遂げ、いまや日本を代表するサイドバックにまで成長した。プレーするフランスリーグの強豪マルセイユでは、W杯優勝メンバーの1人フロリアン・トバンとのコンビで多くの決定機を演出。昨季はファンが選ぶチームMVPにも選ばれた。欧州に渡って8年、いまでも右サイドバックの先輩・ネルシーニョの教えは息づいているのだろう。
Number1004号(2020/06/04)