東尾修の名言
キヨ、いいか。苦手なピッチャーがいたらニコニコして挨拶してこい。
東尾修(プロ野球)
19歳の清原和博は、人を惹きつける不思議な魅力を持つ青年だった。甲子園やドラフト会議を経たことで、何も成し遂げていない若者のことを誰もが「清原」だと知っていた。それゆえ、激しい競争に打ち勝ってポジションを掴んできた中堅やベテランたちは名前先行の新参者を嫌うのは言うまでもない。だが、驚くべきことに強者たちはこぞって清原の活躍を喜んだ。意のままに行動してポカをやらかすくせに、叱った側があっけにとられるほど反省する。そんな素直な青年に皆、虜になっていった。東尾もまた清原に多くのアドバイスを送っている。オールスター戦を控えた時、親分格から言われた通りに“挨拶回り”をこなした清原は、後半戦以降、苦手としてきた投手から面白いように安打を重ねた。周囲の助言を受け入れ、スポンジのように吸収した青年は球界を代表するスターへの成長していくのだった。
Number1005号(2020/06/18)
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