目に映る同僚たちの意志と行動。

　そんな風にスポーツだけでなく、社会全体やビジネスにも関心を持つ籾木にとって、今のアメリカはとても刺激的な場所だ。Black Lives Matterの運動が各地で起きているなか、デモに遭遇したり、チームメイトの自発的な行動に触発されたりしている。

「何よりも、選手たちの行動に注目しています」と話す彼女の瞳は輝いている。

「チームやリーグといった組織が主導するのではなく、選手が一番に動き出しているんです。マスクにBLMとメッセージを入れて仲間全員に配ったり、黒いリストバンドをつけたり、人種差別反対の動画を作ったり、個人で募金を募ったり。クラブがBLMのメッセージ入りTシャツを作ったんですけど、それも選手が社長に話して形になったみたいです。誰の指示も待たずに自発的に行動するチームメイトを見て、すごいなと感じます」

NWSLで異質なパスサッカー。

　むろん、ピッチ上にも刺激はたくさんある。

「想像はしていましたが、フィジカルを前面に押し出してくる選手が多いですね。日本人だとパスを選択するような場面でも、こっちの選手はじぶんの強みを生かしたプレーをする。アタッカーはボールを持った瞬間に仕掛けていくような選手ばかりです」

　OLレインは、日本代表・熊谷紗希が所属するオリンピック・リヨン（フランス）の姉妹クラブで、監督はフランス人のファリド・ベンスティティ。今季から就任した指揮官は、同じく新加入の籾木に目をかけてくれているという。

「加入の前にも話したのですが、監督は私のプレーを本当に理解してくれています。長所もそうでないところも知っていて、良いところはチームで発揮しつつ、改善すべきところはアメリカだからこそ改善できると言ってくれました。そして監督はパスをつなぐスタイルを目指しています。スピードやパワーを武器とする選手が多いなか、じぶんはそこに変化やアクセントをつけられるかなと思うし、監督からもそこを期待されています」

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