濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
木村花の“不在”と向き合いながら。
スターダム、新戦力も登場の興行再開。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byEssei Hara
posted2020/06/27 20:00
3カ月ぶりの試合を終えたジュリア。リングを降りる直前、拳を天に向かって突き上げた。
それでもレスラーは前進する。
「変わっていくことはスターダムの歴史そのもの」
エグゼクティブ・プロデューサーであるロッシー小川の、大会を終えての言葉だ。旗揚げから9年半。引退、退団した選手は少なくない。宝城カイリ、紫雷イオとトップ選手2人がアメリカに活躍の場を移してもいる。だが“窮地”が伝えられるたびに、スターダムは新たなスターを生み出してきた。
もちろん、木村花の不在は単なる“戦力ダウン”などではない。誰か新しい人気選手が出てきても、それは彼女の代わりでは決してない。もしかすると、選手やファンが抱く悲しみは“乗り越える”と表現するようなものですらないのかもしれないと思う。
だがそれでも、ファンとともに前進しなければならないのがプロレスラーだ。すべての答えは、きっとリングの上にある。