サムライブルーの原材料BACK NUMBER
元教師で今はJリーガー兼営業マン。
異色の経歴、FC今治・中野圭に聞く。
posted2020/06/26 17:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
FC Imabari
Jリーガーと○○の二足のわらじ。
○○に当てはまるのは実業家だったり、学生だったり、はたまたYouTuberだったり、これまでもいろいろな選手がいた。
J3に昇格したFC今治のディフェンダー、中野圭の○○にはクラブスタッフが入る。
練習を終えると選手からFC今治のバックオフィススタッフに立場を変え、主にスポンサー回りの業務を担当する。試合のポスターを持ってスポンサー先に配るなど営業活動が中心だ。昨年から始め、Jリーグに昇格した今シーズンも続けるという。
試合に出ていない選手なのかと言ったら、そうじゃない。
32歳、チーム最古参となる6年目。昨年はケガによる出遅れもあって17試合の出場にとどまったが、左サイドバックとセンターバックの両方をこなす主力の1人だ。
地元愛媛出身でもあり、「ずっとこのクラブにかかわっていきたい。一緒に成長していきたいので何かやれることはないか」とクラブの矢野将文社長に相談したところ「じゃあスタッフとしてやってみないか」と提案を受けたことがきっかけで、昨年からFC今治の社員となった。
現役選手が出向くので、パートナーも喜ぶ。
スタッフとの掛け持ちにやりがいを感じながら、6月27日に決まったJ3開幕に向けて気持ちを高めている。Jリーガーとしても、バックオフィススタッフの1人としても。
FC今治はスポンサーをパートナーと呼ぶ。
元日本代表監督の岡田武史が会長を務めるFC今治のパートナーには、会長のネームバリューもあって大きな企業も名を連ねているが、地元の中小企業も多い。その数、実に300社以上にのぼる。
中野の役割は主にFC今治のポスターを持って地元のパートナーを回ること。現役選手がわざわざ挨拶に出向いてくるわけだから、先方も喜んでくれる。