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今永の自戒、オースティンの不在。
1勝2敗で始まったDeNAの2020年。
posted2020/06/23 08:00
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Kyodo News
6月21日のサヨナラゲーム。本来であれば横浜スタジアムは割れんばかりの歓声で盛り上がるはずなのだが、あたりにこだまするのは横浜DeNAベイスターズの選手たちの声ばかり。日常ではないことを感じずにはいられなかった。
危ないゲームだった。広島東洋カープのルーキー・森下暢仁の好投により沈黙したDeNA打線。9回にマウンドに上がったテイラー・スコットを、ネフタリ・ソト、佐野恵太、ホセ・ロペス、宮崎敏郎の4連打で打ち崩し、辛くも勝利をものにしたが、3連敗も十分に考えられる試合内容だった。
好調オースティンの不在。
苦しい開幕カードになってしまった要因は、中継ぎ陣の不振など挙げられるが、やはり大きかったのはオープン戦から練習試合まで好調を維持していた新外国人のタイラー・オースティンを欠いたことだろう。右ヒジ上部の違和感でスタメンを外れたわけだが、オースティン不在の打線は、筒香嘉智を欠いたときの昨年の打線と変わることなく、厚みがあまり感じられなかった。
キャンプ時は実力を発揮できるか未知数のオースティンだったが、課題といわれていたスライダーやカーブといったブレイキング・ボール、フォークやチェンジアップなどのオフスピード・ボールにも対応し、開幕直前の練習試合では26打数10安打3本塁打7打点、打率.385という十分な数字を残している。
しっかりとボールを見極めてからの鋭いスイング。かつてソトに、日本野球にアジャストするためにまずやったことはなにかと尋ねたとき「変化球に対応するため始動をワンテンポ遅らせる」と語っていたが、オースティンにもその傾向が見られるようだ。
アレックス・ラミレス監督もオースティンの資質を高く評価しており、次のように語っている。
「非常に適応能力があり、2年前にソトを見たときと同じものを感じる。今年ソトからホームラン王を奪えるとしたらオースティンだけだろう。怪我さえなければ日本でスーパースターになれるはずだよ」