濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
半年ぶりの試合で対戦相手を公募!?
那須川天心が“格闘技再生”の象徴に。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2020/06/11 12:25
昨年大晦日以来の試合で対戦相手を公募することになった那須川天心。異例の形式だがモチベーションは高い。
天心が動けば、業界が動く。
今、試合をする理由を彼はこう語った。
「これは僕の考えですけど、試合をやりたくないというのはワガママになってしまうかなと。客観的に見れば、格闘技はエンタメの中でも“なくても生きていける”と言われるもの。どうしても後回しにされてしまう。
ここから再生していくには時間がかかるかもしれないですけど、僕たちで新しい形の格闘技を作っていかなきゃいけない。今回はその第一歩です。モチベーションを高くもってやっていきたい」
格闘技界のトップを走っているという自負が、那須川にはある。自分が試合をすることが“動き出した格闘技”の象徴になることに自覚的なのだ。
「那須川天心が動いた、じゃあ他の選手も(動いて)大丈夫なんだな、となる。僕しだいで、良くも悪くも(業界の流れが)変わると思うんですよ」
だからこの試合は、相手との闘いだけがテーマではないのだ。
「“格闘技vs.世間”みたいな感じはありますね」
那須川天心がそう言うのであれば、少しも大げさには感じない。