濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
半年ぶりの試合で対戦相手を公募!?
那須川天心が“格闘技再生”の象徴に。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2020/06/11 12:25
昨年大晦日以来の試合で対戦相手を公募することになった那須川天心。異例の形式だがモチベーションは高い。
伊藤代表「国内無敵で相手がいない」
伊藤代表曰く「国内無敵の状態なので相手がいないんです」。外国人選手の招聘は不可能であり、同時に誰もが納得する日本人の強敵も見当たらない。ファンが期待するであろう“あの選手”と、短期間で契約の壁を超えて闘おうとは考えていない。「待ってます」と挑発して話題性を高める“ダシ”にするつもりもない。中止になった6月14日の大会では“ミスターRISE”裕樹の引退試合の相手を務めるはずだったが、この試合は秋にあらためて組まれる予定だ。さすがに、団体功労者のラストマッチを無観客で行なうわけにはいかない。
「やる気のあるヤツかかってこい」
そんなわけで、那須川には相手が見当たらない。ならば「那須川天心を食ってやろう」という気概を持つ選手を募ろうというのだ。
「ちゃんとしたガチの試合をやるんで。強い人を選びたいです。気合い入ってる人、実力がある人、格闘技を盛り上げるぞっていうパワフルな人とやりたいですね。“やる気のあるヤツかかってこい”って。胸を借りるつもりでとか、そういうのはいらないんで」
今回の試合では、誰と闘うことになっても那須川が“受けて立つ側”だ。強豪タイ人との対戦やトーナメントとは違い、モチベーション作りも難しいのではないかと思える。
本人にそのことを聞くと「今回は新しいことをやる、無観客でやるということ自体がモチベーションですね」という答えが返ってきた。どんなタイプの相手になるか分からないが、そのことにも不安は一切ないそうだ。
「僕はこの時期でも、どんな対戦相手がきてもいいように準備してましたから。自分を高める作業を常にしてきたので。いつ試合が決まっても体重しだいでできるようにしてるんです。普段からの意識が大事だなと。相手によって自分のスタイルが変わることもないですし」