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アーモンドアイ、初のGI8勝目へ。
「ルドルフの呪縛」がついに解ける?
posted2020/06/06 19:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
芝のGI8勝。シンボリルドルフ、ディープインパクトといった歴史的名馬でも、その壁を超えることはできなかった。
今週の第70回安田記念(6月7日、東京芝1600m、3歳以上GI)で、最強牝馬アーモンドアイ(5歳、父ロードカナロア、美浦・国枝栄厩舎)が、史上初の偉業達成に挑む。
日本の競馬史上初めて芝のGI7勝を挙げたのは、1984年に史上初の無敗の三冠馬となったシンボリルドルフだった。その後、2000年に初めて同一年秋古馬三冠(天皇賞・ジャパンカップ・有馬記念)制覇を達成したテイエムオペラオー、’05年に史上2頭目の無敗の三冠馬となったディープインパクト、’07年に牝馬として64年ぶりのダービー馬となったウオッカ、’12年に史上4頭目の牝馬三冠馬となったジェンティルドンナ、そして、’17年に天皇賞春秋制覇を達成したキタサンブラックがつづいた。
錚々たる歴代の名馬が、みな揃って「最多タイ」の芝GI7勝で現役生活を終えている。ダートでは、地方交流を含むGIをコパノリッキーが11勝、ホッコータルマエが10勝、ヴァーミリアンとエスポワールシチーが9勝するなどしているのに、芝のGIには不思議と「壁」が存在する。
ルドルフの最終レースはアメリカ。
なぜ、歴代の名馬は「GI8勝」の壁を超えられなかったのか。
シンボリルドルフは、旧6歳時の’86年、初の海外遠征となった米国サンタアニタパーク競馬場のサンルイレイステークスでよもやの6着に敗れた。レース中に発症したらしき故障(左前脚繋靱帯炎)が敗因とみなされ、その一戦を最後に現役を引退した。
それがGI8勝目への最初で最後のチャレンジだった。しかし、ルドルフがGI8勝目を挙げられなかったのは、その前年の’85年、跛行により宝塚記念の出走を取り消し、それ以来の実戦となった同年の天皇賞・秋で2着に敗れたことも痛かった。