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ロンドン五輪に学ぶ。あのサラーも
抑えた、徳永悠平「いつもどおり」。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byFIFA via Getty Images,Asami Enomoto(in the article)

posted2020/06/01 11:30

ロンドン五輪に学ぶ。あのサラーも抑えた、徳永悠平「いつもどおり」。<Number Web> photograph by FIFA via Getty Images,Asami Enomoto(in the article)

ロンドン五輪のエジプト戦では、今や世界最高のストライカーの1人であるサラー(左)を抑え、3-0の勝利に貢献した徳永。

「今までどおりの自分を出してくれ」

 トップがプレスに出ていくタイミングで後ろも続き、外に追い込んでボールを奪う。コンパクトな陣形を保ち、味方との距離を意識することで攻撃にも活きる。

“仮想”スペイン戦となったラスト強化試合のメキシコ戦が大きかったという。この試合は前線のプレスからボールを奪ってショートカウンターで先制点を奪い、優勝候補に勝って弾みをつけることができた。

 ボールを持つ相手に対してどう戦うか、そしてどうメンバーを構成するかが最後の最後で明確になった。

 徳永は言う。

「いい試合ができたなっていう感覚はありました。麻也が仕切って、守備のやり方がガチッとはまって、ボールを持てないときの割り切り方というか自分たちの戦い方がハッキリとしました」

 彼は選手ミーティングでも積極的に発言したわけではない。あちこちから意見が出たため、自分が前に出ていく必要はないと思えたからだ。

 選手たちで話し、監督とも相談して決めたことを、ピッチに出たら率先してやるだけ。それがいつもどおりの自分。関塚からも「今までどおりの自分を出してくれ」と言われていた。本大会は特別であっても、特別ではなかった。

スペインの攻撃に耐えて、カウンターを打つ。

 アテネのときは初戦のパラグアイ戦で「チームとしてバタバタしてしまって、動きも硬くて」黒星スタートとなった反省があった。いつもどおりに振る舞う姿勢は、経験の少ないオリンピック世代の選手たちへの良きお手本となった。

 スコットランド・グラスゴーで迎えたスペインとの初戦。徳永の左サイドが攻防のカギを握った。

 対面のフアン・マタが中に絞り、サイドバックのモントーヤが上がってくる。支配を強めるスペインの攻撃に耐えてボールを奪ってカウンターを打ち、徳永も攻撃に参加していく。

 相手が1人退場したこともあって、先制してからもカウンターを何度も発動。プレスとブロックの使い分けもスムーズで、ハードワークとチームワークでもぎ取った完勝劇であった。

【次ページ】 率先してやるべきことをやる。

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