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旗揚げ戦に鈴木みのるも参戦!
配信特化プロレス『チョコプロ』とは? 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph by(C)Chocopro

posted2020/04/30 20:00

旗揚げ戦に鈴木みのるも参戦!配信特化プロレス『チョコプロ』とは?<Number Web> photograph by (C)Chocopro

斬新なアイディアで常に話題を提供するさくら(後列左)。4月25日の大会ではAEW参戦経験のある実力者・水波綾と対戦した。

女子プロレスに多様性をもたらした先駆者。

 もっとたくさんの人にプロレスを見てほしいし、もっとたくさんの女性にプロレスラーになってほしい。そのためにハードルを下げ、間口を広げる。現在の女子プロレス界は“超人”だけの世界ではなくなった。社会人経験を経て30代でデビューする選手もいれば、芸能界から挑戦する者も。そういう多様性のある業界を作った先駆者がさくらなのだ。

 DDT社長の高木三四郎は「女子プロ界を今みたいにした“戦犯”ですよ、あの人は」と笑う。「今みたいにした」とは当然「今みたいに面白くした」という意味でもある。

 市ヶ谷チョコレート広場での試合はリングではなくマット(だけ)の上で行なわれる。ロープはなく、コーナーポストからのダイブもできないが、選手たちは会場の窓枠から飛んだり、相手を壁に叩きつけたりと独自のファイトスタイルを編み出していった。

オファーを受けた鈴木の度量と挑戦。

 チョコプロの旗揚げ戦には、大物中の大物である鈴木みのるが参戦して話題になった。海外でもビッグネームの鈴木だけにインパクトは充分すぎるほど。「1カ月試合がなくて、人を殴りたくて仕方なかった」から出場したと言う鈴木と対戦したのは、インドからの留学生レスラーであるバリヤン・アッキ。セコンドについた我闘雲舞の女子選手と鈴木が乱闘を繰り広げる場面もあった。

 我闘雲舞みんなで鈴木に挑んだわけだが、鈴木もまた“極小空間でのマットプロレス”にチャレンジしていたと言えるだろう。さくら曰く「このオファーを受けてくれたこと自体が鈴木さんの凄さの証明だと思います」。

 スリーパーホールドでアッキを下した鈴木は、再戦を求められると「それには強くなるしかないよ。強くなってのし上がったらまたやれる。東京ドームでもどこでもな」。自分と同じ指の負傷を抱える帯広さやかにはテーピングのアドバイスもした。その光景すべてが生中継された。

「カメラに写っていないものは存在していないのと同じ。それがチョコプロなんです」

 そう説明してくれたのもさくらだ。メディアの取材がないからバックステージコメントもない。言いたいことがあったら中継のカメラに向かって言う。

【次ページ】 チョコプロは「小さいままで大きくなる」。

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