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カズさんの表紙はいかに実現したか。
「明るくいかないと。笑顔は大事」
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byMegumi Seki
posted2020/04/23 15:00
こんなときだから笑顔で、と言ってサマになる男、それがキング・カズ。
まさに千両役者、胸元には……。
約束の時間を少し過ぎたとき。
颯爽と現れたカズさんの姿に、カメラマンは目をむいた。
バッチリのスーツ。ベージュのハーフコート。オレンジのトランクを抱えて、満面の笑顔。想定外すぎて呆然とする一同に、カズさんは「こんなときだから、明るくいかないと。笑顔は大事だよ! 僕はいま『男はつらいよ』にハマってる。今日のテーマは寅さんだね」と言ってくれたのだ。
Numberだけの話などではない。このご時世だからこそ、自身に何ができるのかという影響力まで考え、締切前の最後の最後に、頼まれたわけでもないスタイリングも準備して登場してくれたのである。
これを千両役者と言わずして何と言えばいいのか。
さらに。
カズさんのスーツの胸元には光るネックレスが。「11」をかたどったものである。それはもしかして……。
「Number1000号の表紙で、イチローさんが51番のネックレスをしていたでしょう。だから僕も、ね」
そう、やっぱりカズさんはNumberのこともちゃーんと考えてくれていたのだ。
最高の表紙になった。
細心の注意を払い、撮影は短時間で終了した。
いま、自身の無力さを痛感すると話し、「こんなことくらいでしか貢献できないからね!」と言ってくれたカズさん。我々はその気持ちにありがたく甘え、最高の笑顔を表紙に掲載させてもらった。
最高の表紙になった。
再びサッカーが動き出し、ゴールに熱狂できる日まで、希望の1ゴールを忘れずに。カズさんの笑顔が呼び起こしてくれたそんな思いを、読者の皆さんにも感じていただければ幸いである。