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カズさんの表紙はいかに実現したか。
「明るくいかないと。笑顔は大事」 

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photograph byMegumi Seki

posted2020/04/23 15:00

カズさんの表紙はいかに実現したか。「明るくいかないと。笑顔は大事」<Number Web> photograph by Megumi Seki

こんなときだから笑顔で、と言ってサマになる男、それがキング・カズ。

真っ先に言及した「希望のゴール」。

 なかでも真っ先に触れたのは、2011年、東日本大震災のわずか18日後に行われたチャリティーマッチでのことだった。

「(今の新型コロナウイルス禍は)あのときとは状況が違うんだけど、似たようなところもあるでしょ」と9年前を思い起こしたカズさん。チャリティーマッチの後半17分に登場し、期待感がスタジアムを満たす中で同37分に決めた一撃は日本中に喜びを届けたゴールだった。

「(あのゴールに)勇気づけられたとよく言われたけど、そういう意味では他のゴールとはまた違う重みもあったんだと思います」

 まさに特集のタイトル通りの、「希望のゴール」だ。

 この1点をはじめ、人生の11のゴールを語り尽くしてくれたカズさん。記事はとてもいいものになる、と確信できた。

撮影当日、どんな姿で登場するのか。

 ただ、この日は編集者さえ同行せず、インタビュアーひとりだけの取材。撮影はまだできていなかった。

 もちろん、この状況下で話を聞かせてくれただけでも十二分にありがたい。けれど、締切までにはあと数日だけ残っている。せっかくの巻頭記事だ。数分間だけ、1カットだけでも特写をお願いできないか……。往生際悪く、最後のお願いをした。

 カズさんにとっては断っても何の問題もない依頼。この状況では、むしろ引き受けるほうがリスクを負うことになる。

 それでも、締切前最後の日に短時間で、とOKが出たのである。

 スタッフは感涙にむせんだ。やはりカズさんはNumberを思ってくれたのだ、と……。

 だがカズさんの考えは、そんな我々の小さな想像をはるかに超えていた。

 撮影当日。カメラマンはカズさんの登場を待っていた。時間は最低限。こんな不透明な情勢、恰好や表情が暗くても仕方ない。「希望の1ゴール」だから少しくらい微笑んでくれるといいけれど……。

【次ページ】 まさに千両役者、胸元には……。

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